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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2021年5月の記事一覧

#4「ビジョン」とは何か~ 遠藤功『未来のスケッチ』より~|学校づくりのスパイス

 今回は遠藤功氏の『未来のスケッチ――経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある』(あさ出版、2010年)をもとに、学校の「ビジョン」について考えてみたいと思います。メディアでもしばしば取り上げられている旭山動物園については、関連書籍もたくさん出版されていますが、今回はそのなかでも「組織をいかにして活性化していくか」という視点を前面に立てて論じられている、コンサルティングファームを経営する遠藤功氏の著作を取り上げます。 「スター」動物のいない動物園 旭山動物園と言えば、公共施

#3「話の長い教師」につける薬~髙田明『90秒にかけた男』より~|学校づくりのスパイス

 今回は『90秒にかけた男』(日本経済新聞出版、2017年)を手がかりに、教師なら誰もが日々直面している、人に何かを「伝える」という働きの秘訣について考えてみたいと思います。  筆者は日本人であれば誰もが聞いたことのある、あの「ジャパネットたかた」の髙田明氏です。髙田氏についてはかつて顧客情報流出があった際の謝罪会見がすばらしいので、ときどき危機管理の授業などの折に活用させてもらっていたのですが、この本を読むとそうした表現力もけっして天賦(てんぷ)の才能などではなく、一つひ