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「子どもの貧困問題への対策強化に向けてのワーキンググループ新設」に関して、こども家庭庁への質問と回答

2024年8月21日質問
【大前提】

2024年8月19日の時事通信で「こども家庭審議会で、子どもの貧困問題への対策強化に向けてワーキンググループ(WG)を今秋にも新設する方針」という報道がありました。その報道の中で「2026年度から離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」が導入される。これを受け、養育費確保や家庭内暴力(DV)対策などについて議論。国が定めるひとり親家庭支援の基本方針への反映を目指す」と記載がありました。
報道内容:https://www.jiji.com/jc/article?k=2024081900513&g=soc

上記WGに関して、こども家庭審議会と関連の強いこども家庭庁に2つ質問があります。

質問1)
【質問1の前提】
共同親権含む民法改正での国会審議において、令和6年4月19日参議院本会議で国民民主党 川合孝典議員が、「離婚時に共同養育計画書を作成することの必要性についての認識」に関して質疑されました。
その質疑の中では、我が国では養育費受領率は30%弱となっているが、そもそも養育費や親子交流の取り決め自体が低水準となっている。一方、養育費等の取決めを行っている世帯での養育費受領率は取決めを行っていない世帯を大幅に上回っている。これらの事実から、離婚時に養育費負担や親子交流を含む共同養育計画作成を義務化することが、「子の利益」を保護する上で有効だと考えられる旨が述べられました。
質疑に対して、小泉法務大臣は「離婚時に父母が子の養育に関する事項を取り決めることは、子の利益にとって望ましく、養育計画の作成の促進は重要な課題であ」ると答弁しています。そこで、共同養育計画作成に関して質問があります。

【質問1】こども家庭審議会の子どもの貧困問題への対策強化に向けてのWGで、養育費確保のための「共同養育計画」を作成することの必要性及びその内容、行政等における「共同養育計画」作成支援等に関して議論する予定はあるか。

【質問1の参考資料】
◯第213回 参議院 本会議 第13号 令和6年4月19日
発言No 012(川合孝典議員) 発言No 013(小泉龍司法務大臣)
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121315254X01320240419&current=9


質問2)

【質問2の前提】
共同親権含む民法改正での国会審議において、令和6年4月25日参議院法務委員会で国民民主党 川合孝典議員が、「円満かつ頻繁な親子交流の実施が養育費受給率の上昇につながることが強く推測される」ことをデータを示して提示され、法務省及び法務大臣にその受け止めに関して質疑されました。
その質疑の中では、ドイツのデータで、養育費の支払の履行状況は、親子が頻回に交流をしている場合は85%となっている一方で、全く交流がない場合は40%まで低下しているという極めて顕著な差出ており、アメリカでも似たようなデータがあることが指摘されました。
また、それに続く質疑でこども家庭庁が親子交流支援事業を行っているが、そこでの親子交流の援助の実施頻度が「原則月1回までとする」とされているが根拠があるのか川合孝典議員が問うたところ、特に根拠はないことが明らかになりました。そこで、共同親権法制化後の親子交流支援等に関して質問があります。

【質問2-1】
先進諸国のデータで、「円満かつ頻繁な親子交流の実施が養育費受給率の上昇につながることが強く推測される」ものがあるが、こども家庭庁としては養育費確保のための別居・離婚後の「円満かつ頻繁な親子交流の実施」を促すための施策を話し合う予定はあるか。
【質問2-2】
また、先述のように「円満かつ頻繁な親子交流の実施が養育費受給率の上昇につながることが強く推測される」データがあるため養育費確保の観点からも安全安心が担保された場合は頻回交流が望ましいわけだが、現在「原則月1回」としているこども家庭庁の親子交流支援事業に関して交流支援頻度拡充や頻度制限の撤廃等は検討しているか。

【質問2の参考資料】
◯第213回 参議院 法務委員会 第8号 令和6年4月25日
発言No 288(川合孝典議員) 発言No 289(小泉龍司法務大臣)
発言No 290(川合孝典議員) 発言No 291(野村知司政府参考人)
発言No 292(川合孝典議員) 発言No 293(野村知司政府参考人)
発言No 294(川合孝典議員) 発言No 295(野村知司政府参考人)
発言No 296(川合孝典議員)
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121315206X00820240425&current=8

◯川合孝典議員が参考資料として使用したと思われるドイツでの頻回交流群と交流なし群での養育費履行状況に関するデータ
「父母の離婚に伴う子の養育・公的機関による犯罪被害者の損害賠償請求権の履行確保に係る各国の民事法制等に関する調査研究業務 報告書」115-116頁
https://www.moj.go.jp/content/001348073.pdf

2024年8月22日回答(こども家庭庁家庭福祉課)

■質問の内容
【質問1】こども家庭審議会の子どもの貧困問題への対策強化に向けてのWGで、養育費確保のための「共同養育計画」を作成することの必要性及びその内容、行政等における「共同養育計画」作成支援等に関して議論する予定はあるか。
【質問2-1】先進諸国のデータで、「円満かつ頻繁な親子交流の実施が養育費受給率の上昇につながることが強く推測される」ものがあるが、こども家庭庁としては養育費確保のための別居・離婚後の「円満かつ頻繁な親子交流の実施」を促すための施策を話し合う予定はあるか。
【質問2-2】また、先述のように「円満かつ頻繁な親子交流の実施が養育費受給率の上昇につながることが強く推測される」データがあるため養育費確保の観点からも安全安心が担保された場合は頻回交流が望ましいわけだが、現在「原則月1回」としているこども家庭庁の親子交流支援事業に関して交流支援頻度拡充や頻度制限の撤廃等は検討しているか。

■回答
【質問1及び質問2-1について】
こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会の下に設置されている「こどもの貧困対策推進ワーキンググループ」においては、貧困の状況にあるこども等のニーズを踏まえた事業運営や必要な見直し等について検討を行うこととしておりますが、
具体的な検討事項については構成員のご意見を踏まえて決定したいと考えており、ワーキンググループでどのような議論を行うかは現時点では未定です。
なお、「共同養育計画」の作成については、法務省において調査研究を実施予定と承知しておりますので、当該調査研究の結果も参考にしてまいりたいと考えております。

【質問2-2について】
親子交流支援事業を含めたひとり親家庭等に対する自立支援策の拡充等については、令和7年度概算要求に向けた検討を行っているところです。

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