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【「形容詞+です」に対する違和感レベル】ていねいに書く雑文~その99~20220904

【「形容詞+です」に対する違和感レベル】

文章を書く上では「違和感」ってものが意外と大事な気がする。たぶんみんなそう思ってるはず。違和感を違和感としてスルーしちゃダメ的なことを。

先日ちょっと「ハッ」としたことがあった。「書いたわたしが違和感を覚えてなくても、読んだ人が違和感を覚えている可能性はあるな」と。

ハッとしつつ「めんどくさいことに気づいてしまった」と思ったことは置いといて。

正しい日本語というのがある。わたしは、正直にいうとあまりコレにこだわっておらず、通例を重んじるタイプだ。重複を「じゅうふく」って読んだってかまわないと。よくある「悪いことと知っていながらするという意味の確信犯」とかは明らかな誤用なのでダメだけど。

要は認められてきたかどうかかなと。重複は「じゅうふく」でも変換できる。辞書に載ってりゃセーフかなと思う。

ただ、辞書的にセーフであることと、違和感は実は別の話になる。たとえば重複について「辞書ではじゅうふくでも良いって言ってますよ」と声を荒げても、「ちょうふく派」の相手の違和感は払拭できない。そもそも「ちょうふく派」の人を論破したいわけでもないのだ。

似たようなものでよく話題になるのが「形容詞+です」だ。形容詞というのは「~い」で言い切れる様子や状態を表す言葉。楽しい、おいしい、美しい、かわいい、はやい、めずらしいなど。ちなみに「きれい」は形容動詞。「きれい『な』人」「きれい『だ』」なんて風に言えるやつは形容動詞なので、この話題とはとりあえず無関係。

先に、参考になりそうなリンクを貼っておく。教科書を作ってる会社とNHKがどう言っているのか確認してほしい。

https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/textbook/chuu/kokugo/guidanceq030-00.html

https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/002.html

「形容詞+です」は元々誤用だ。「楽しいです」も「おいしいです」も本来はダメなわけだ。これらは「正しい日本語」ではないことになる。しかし、リンクによれば、放送用語のような「話し言葉」でも、教科書に載るような「書き言葉」でも現在は認められているようだ。

まぁ、たしかに、上司にご飯連れて行ってもらって、上司に「ここの料理おいしいよね?」と聞かれたときに「おいしゅうございます」と言う人はおらず、9割以上の人は「おいしいです」と答えるはずだ。

もちろん、わたしもそう言う。個人的には、ここに違和感は一切ない。

ただ、書き言葉になるとそれは別のようだ。話し言葉としての「形容詞+です」に違和感がないので、書く場合・読む場合でもわたしは正直違和感を覚えない。意識しなければサラッと読んでしまうだろう。

しかし、ここに違和感を覚える鋭い人がいる。その人たちが普段から「おいしゅうございます」なんて言ってるわけではないと思うが「元々は誤用である」という知識や意識から、気づけるのだろう。これはスゴイ。

今回言いたいのは「でも、実際の実際は認められてるからイイんじゃねぇか?」という話ではない。元々誤用であるからには、それがどんなに一般化したとしても「正しい日本語ではない」と思う気持ちは間違いじゃないし、誤りだとすることも間違いではないと思う。

大事なのは「違和感だ」

「いやいや、今は実際のところ誤用とは言えないんですよ。ほら、教科書でも使われてるし」とドヤるのは無意味だ。いくら正しかろうが、違和感を覚える人がいるわけで、しかもその違和感も間違ってはいないのだから。

※大変申し訳ないが「いやいや、何言ってんの。今も誤用だぜ?」という意見は受け入れないことにする。リンクにしたがい「誤用とは言えない=間違いじゃない」という認識で進めたいと思う。

言ってしまえば「どちらも正しい日本語」なんじゃないだろうか。でも、使い方によっては違和感を覚える人がいる。

それなら、文章で伝える仕事をするライターとしては、違和感を覚える人に合わせた方がよいんじゃないだろうか。つまりは「形容詞+です」を使わない方向に。

振り返ってみると自分が書くときに「形容詞+です」は無意識のうちにほぼ使っていない気がする。でもそれはきっとたまたまだろう。

正直なところ「形容詞+です」をやたらと否定する人に対しては「重箱のスミをつつきますなぁ」と思っていたし「誤用じゃないならええじゃん。やかましい」とも思っていた。

でも、自分が「書き手」だという立場からよくよく考えると、そうも言ってられないなという考えに至った。自分の意識しないところで「これ間違ってますね」とか「稚拙な文章だなぁ」などとは、たとえそれが誤解であっても思ってほしくない。

だから「誤用とは言えないならいいじゃん!」と鼻息を荒くするのではなく、合わせるしかないなと、今は思っています。

書いていて気づいたけど、「多いです」の言い換えって難しくない?

「多くの人は〜」みたいにするってことよね?

「形容詞+です」を避けたいがために、言い換える。そんな状況でございます。

日本語は難しい。難しいです。

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