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続・ほろよい歳時記

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京都と滋賀の二拠点から、酒蔵のある風景を旅して呑んで。四季折々に好きなものを愛で、酔いしれる暮らし。毎日新聞に連載していた「すみれのほろ酔い歳時記」の続編。
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#イラスト

翁の眼福

翁の眼福

京都では、正月も過ぎてしばらくすると、十日戎の賑わいが、何処にいても伝わってくる。えべっさんの福々しい姿のお菓子やお守りが目に浮かぶ。なにより昔から、私はえびす顔の人が好きだ。

あるとき、福の神のお顔を描いていると、とても心地良い気持ちに満たされた。筆を走らせながら、自分の顔もほころんでいたに違いない。なおいっそうのこと、えびす顔の人との出会いを楽しみに思うようになった。

これまで出会った中で

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“ルポ&イラストレーター”のしごと。

“ルポ&イラストレーター”のしごと。



秋色から冬色に変わるとき。日々、季節の色を確かめるように、仕事場の窓からじっくりと山々を眺めています。ひんやり、しぐれと共に色を深めていく―。

夏越しの祓から、早いもので年の瀬を迎えます。
春には京都に新たな拠点を持ち、滋賀と京都、大阪を往復する日が続いて、せわしないようで、でもしっかり休むときは休んで、湖北の静かな生活にも、ずいぶん癒されました。

気が付けば、“ルポ&イラストレーター”の

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お蚕さんと糸取りの里――賤ケ岳のふもと、大音地区。

お蚕さんと糸取りの里――賤ケ岳のふもと、大音地区。

今春から滋賀銀行の季刊誌「かけはし」で、湖国の街道を巡るイラストコラムを連載しています。10月発行の秋号では、北国脇往還を取材しました。

なかでも興味深かったのが、賤ケ岳のふもとにある大音地区の糸取り工房です。

糸取りをする時期は、6月から7月まで。
私が取材したのは、今年最後の糸取りの日でした。
工房を訪ねると、カタカタと糸を紡ぐ音が心地よく響いていました。

ここ大音での糸取りの歴史は古く

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