西日本を台湾の避難場所に

台湾の半導体大手、TSMCが熊本に工場を建設する。日本で取引される半導体の多くは車載用だから、それほど最先端の技術ではない。利幅の大きい汎用品の生産ラインになる。

これは、日本、アメリカ、ヨーロッパでは、今後中国で生産された半導体は使えなくなるから西側諸国で生産する必要があるためである。西側諸国向けの工場として、TSMCは日本とアメリカに工場を建設する。

米中情勢から見ると、台湾はいつ戦争になってもおかしくない。戦争になれば、中国は台湾の国力を削ぐために半導体工場をピンポイントで攻撃する可能性がある。日米に工場を作ることは、台湾戦争が起きても台湾の主要産業である半導体生産を日米に避難させて事業継続を可能にする。

台湾は、半導体以外でもAIや5Gで世界最先端を行っている。日本企業がリストラや短期決算で利益を追求するようになってから、息の長い研究に投資しにくくなる中で台湾が台頭している。古き良き日本が残る台湾ならではである。

台湾戦争が起きれば、こうした先端企業は格好の爆撃目標になる。今の戦争は第二次世界大戦のように都市を空襲して多数の死傷者を出すことはしない。民間人の殺傷は国際法違反なので、相手の国力を削ぐために特定の企業や機関をピンポイントで爆撃して、死傷者を出さずに国の弱体化を図る。この方が少ない戦費で効果を上げることができる。

中国は、台湾を弱体化させるなら先端企業や政府機関を重点的に攻撃するだろう。これを防ぐために台湾の企業や政府機関はいつでも避難できる場所を確保する必要がある。日本は距離的に近く西側諸国なので最適である。

九州に台湾先端企業を誘致して、台湾が危険になればいつでも逃げられるようにするのが良い。台湾戦争が起きたらすぐ九州に避難し、台湾の経済は日本で回す。そして日米台の軍が台湾を奪還したら戻れば良い。

企業だけでなく、人も避難できるようにする。戦争が起これば電力関連が狙われる可能性は高い。発電所を止めてブラックアウトさせ、市民生活や政府機関の活動を止めることは中国は間違いなくするだろう。サイバー戦争は中国が得意としている。

政府機関は鹿児島県の鹿屋航空基地近くに台湾の政府機関全てが移転できる施設を作れば良い。ここは広い土地があるし、政府機関や要人は軍用機で移動するだろうから、航空基地近くが便利である。

高齢者や病人などは停電が死活問題になる。そのため戦争が起きる前に避難を必要とする人々は台湾から脱出する必要が出てくる。この場合避難したい人が殺到するのでパニックが起こる。そのため短時間で大量の避難民を輸送しなければならない。避難先としての適地は西日本である。台湾の人口が約2400万人なので、特定の都市や県で受け入れるのは難しい。中国に占領されて文化大革命のようなことが起きれば、ほとんどの台湾人が避難する可能性もある。今の中国も文化大革命の再来のようになっているので、この可能性は高い。

避難先を西日本としたのは、移動時間の短縮である。台北から鹿児島まで直行便で2時間。台北から東京まで直行便で3時間40分から4時間半。シャトル便輸送をすると、東京に運ぶ間に鹿児島なら往復できる。鹿児島から陸路で西日本全域に散らばれば台湾国民ほぼ全員も日本国内に避難できる。ただし沖縄県は避けなければならない。台湾戦争は中国が沖縄を侵攻して日米軍が沖縄に目が行っているうちに行われると考えられるので、沖縄県が安全とは言えない。むしろ中国が奄美大島以南の領有を主張しているので、台湾戦争と同時に戦場になる可能性が高い。そのため沖縄県民や奄美諸島住民も本土に避難できる準備が必要だ。

西日本全域で台湾や沖縄、奄美の避難者を受け入れる準備をしておくことは、東京の防災対策にもなる。東京は関東大震災や富士山噴火で壊滅的被害を受ける可能性が高い。戦争以前に自然災害の危険度、脆弱性は東京が最も高い。東京は世界の都市の中でも自然災害の危険度は最高ランクの高さだ。東京の住民もいざとなれば西日本に避難し、政府機関も鹿屋航空基地周辺に避難すれば人や組織は守られる。

西日本全域を避難場所にすることは、国防、防災の観点から重要である。

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