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ハグロトンボ、思いを乗せて羽ばたいて

こんにちは。うだる暑さが続きますが、みなさまいかがお過ごしですか?

いろんなことが様変わりした今年。とうとうこれまで当たり前だったお盆すら当たり前ではなくなってしまいました。

そんな今年は、昔からお盆と深いかかわりを持つ ”ハグロトンボ” に思いを託してみてはいかがですか?

ハグロトンボは”神様”?

ハグロトンボは水のきれいな小川を好む、カワトンボの仲間です。お盆のころによくみられることから、日本では古来より「ご先祖様の魂を運ぶトンボ」、また神様の使いともいわれ、縁起の良い存在として扱われてきました。
特に京都ではご先祖がハグロトンボに姿を変えてこの世に帰ってくると言われていて、神社の宮司さんたちに大切にされています。

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ハグロトンボの不思議な特徴


まずはその色。ハグロ(翅黒)トンボの名前の由来にもなっている黒い翅(はね)が特徴です(※諸説あり)。写真はメスのハグロトンボです。オスは胴体がエメラルド色に光って見えます。

またハグロトンボは蝶のようにひらひらと舞うように飛びます。ずっとこの飛び方で、普通のトンボのような素早い動きはしません。飛び方の秘密は、翅にあります。上の写真を見ると4枚の翅がそれぞれ独立して開いていますよね。この特徴のおかげで、ハグロトンボは”羽ばたく”ことができるのです。飛んでいるハグロトンボのそばで耳をすますと「パタパタ・・・」というかすかな羽音が聞こえますよ。

美しく、どこか儚い感じのするハグロトンボ。昔の人たちはその浮世離れした姿に”あの世”とのつながりを感じ取ったのでしょう。そして筆者もその一人です。

筆者とハグロトンボの出会いで印象に残っている出来事があります。

神社で出会った”神様”たち

今年の初夏にある小さな神社に立ち寄った時のことです。この神社は境内に大きな木があり、境内全体が日陰となってひんやりしていました。
鳥居をくぐってみて、びっくり。たくさんのハグロトンボが境内のあちこちで羽ばたいていたのです!神社の隣には田んぼに水を引くための水路がありました。どうやらこのハグロトンボたちは神社脇の水路で羽化し、日陰を求めてこの神社にやってきたようでした。集団でふわふわしているその姿はなんだか井戸端会議をしているように見えました。
神様や魂がトンボになって舞い戻ってくるという言い伝えを肌で感じる、とても神秘的な光景でした。

ハグロトンボの生息場所

ハグロトンボは北海道と沖縄を除く平地や低山地に生息し、流れがゆるやかで水草の多い小川を好みます。川で生まれそだち、水草で羽化した後、日陰を求めて少し移動しますが、ゆくゆくはまた川辺に戻り、一生を終えます。
昔は田んぼのそばでよく見られましたが開発と共に数が減ってきて、都市部では絶滅危惧種のリストに入るほどになってきました。都市部では見つけにくいかもしれませんが、自然の残っている町では生息していることがあります。生息時期は10月ごろまでなので、よかったら見つけてみてくださいね。

熱中症や豪雨、そしてコロナなど不安の多い日々が続きますが、みなさまどうか気を付けてお過ごしください。

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