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ウィスキー製造におけるロースト麦芽:モルトウィスキーのニューメイクの製造と揮発性アロマの生成に与える影響

2022年5月17日

モルトウィスキーの製造には通常、低温で焙燥されたモルトが使われるのに対して、近年複数の蒸溜所で利用が試みられているロースト麦芽が、麦汁の製造効率やニューメイク(2回の蒸留後に生成する原酒)に含まれる揮発性成分の組成にどのような影響を与えるかを、ロースト温度や添加比率の違いに対して体系的に調べた研究。スコットランドのヘリオット・ワット大学を中心に、Crisp Maltや地域の蒸溜所が参加している。

結論としては、比較的低い比率で加えることで、得られる麦汁の量やアルコールの取れ高に影響することなく、4エチルグアイアコールのような樽のチャーリングやピートに由来する香りなどを与えることが出来るので、ウィスキーの香味の新しい付与方法として有効である、というもの。ウィスキーの製法にもまだまだ未開拓の領域が残されていて、特に新しい小規模蒸溜所の造り手がそうした可能性に果敢に挑戦している、ということと思う。