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明治・大正浪漫を感じる南禅寺の琵琶湖疏水

京都の東側、平安神宮や岡崎公園のさらに東に、南禅寺があります。

そこから山を越えると、山科、さらに山を越えると滋賀県に入り、琵琶湖があります。

琵琶湖疏水は、琵琶湖から京都へ延びる水路のことで、明治維新の後、都が東京へ移り、活気のなくなった京都を復活させるために取り組んだ一大事業として、当時の京都の年間予算の2倍、5年の歳月をかけて造られました。

それにより、水運、上下水、灌漑、さらに水力発電まで作られて、京都の近代化を後押ししました。

現在、それらの役目は、終えていますが、今ではそれらが観光名所としても有名になっています。

南禅寺船溜と琵琶湖疏水記念館

平安神宮へ向かう大鳥居の前に流れる川は、鴨東運河(おうとううんが)と言い、鴨川へ続く琵琶湖疏水になります。

その運河を、東へ進むと、南禅寺船溜という、開けた場所に出てきます。

真中に噴水があり、対岸には京都市動物園があります。

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ここは、琵琶湖疏水のインクライン(傾斜鉄道)で水運用の船の順番を待つために作られた、船溜となっています。

現在は、春になると、ここから鴨川近くの夷川発電所の船溜まで十石船に乗ってお花見をするというイベントが開催されています。

また、この船溜の前には、琵琶湖疏水記念館があります。

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像の向こうに見えているのが、琵琶湖疏水記念館。

この位置からだと、道なりに歩き、南禅寺橋を渡って、左に曲がると、建物の中に入ることが出来ます。

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地下1階と2階建ての3階の建物となります。

琵琶湖疏水記念館は、琵琶湖疏水竣工100周年を記念して、平成元年に開館した建物で、明治から現代までの琵琶湖疏水に関する資料が展示されています。

なんと、無料で入館でき、琵琶湖疏水が何なのかが良く分かります。

そして、地下からは、船溜の水面近くまで降りることが出来ます。

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ここから、ここ通って大丈夫なん?

と思うような細い柵の間を抜けていくと、インクライン(傾斜鉄道)の敷地内へ入ることが出来るのです。

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線路がずっと続いています。

後ろを振り返ると、先ほどの噴水が遠くに見えます。

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インクラインはなだらかに水辺にと変化していくのが良く分かります。

ここが、陸と水辺の境目なんですよね。

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南禅寺橋の上から見ると、さらに良く分かりますよね。

右の階段の向こうに、琵琶湖疏水記念館があるのです。


インクライン(傾斜鉄道)

そのインクライン(傾斜鉄道)とは、南禅寺船溜と上流の蹴上船溜まりの間にある高低差を行き来するために作られたものです。

高低差がきついと、船で行き来するのが難しいのですよね。

蹴上には浄水場があり、こちらから京都市内に水道が引かれています。

さらに、蹴上から南禅寺の水路閣に向かう水路には発電所もありますし、その先には扇ダムがあり、さらにそこから、哲学の道、その周りに広がる庭園への水、ダムを通って南禅寺船溜に行くルートなど、水の通りがかなり複雑になっています。

下の写真は、琵琶湖疏水記念館の地下から見える、扇ダムから南禅寺船溜へ流れる放水路の出口です。

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琵琶湖疏水には、この出口にも掛かっているような扁額が大津から12か所点在しています。こういうのを探して回る旅も楽しそうですよね…


さて、インクラインの話に戻りますが、水運で琵琶湖疏水が使われなくなって、こちらも廃止されていたのですが、昭和52年(1977年)に当時の姿が復元され、今では自由に入ることが出来るようになっています。

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伸びている木は桜で、春になるととても美しい場所となります。

絶好の写真スポットです!

こんな感じで結婚式の写真撮影にも使われたりしています。(春桜が咲くのが間に合わず残念だったのだと思いますが…)

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そして、線路の上をリアルに歩けるのも、こちらの魅力だと思います。

(今の鉄道の線路幅に比べると、むちゃくちゃ狭いのですが。)


当時の船の様子も復元されています。こちらは平成22年(2010年)に寄贈されたものだそうです。

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こちらで三十石船だそうです。

(柵に囲まれていて、全容が分かりにくいのですが…)

三十石でもあんまり大きくないんだなと思ってしまいます。十石だともっと小さいんですよね…大きすぎると疏水を渡るのも大変というのもあるでしょうが…昔はいかに物を運ぶのが大変だったのかがよく分かります。

そしてここから、インクラインは、さらに蹴上の船溜まで続きます。

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因みに、蹴上から大津まで、当時の様子を楽しむことが出来る、びわこ疏水船が運行されています。

(2020年はコロナ禍の影響で、運休となっているのですが)

これはまだ私も経験していないので、是非一度乗ってみたいと思っております…早く再開してほしいな~


ねじりまんぽ

インクラインは、どんどん坂を上がって行きますので、並行して走る仁王門通りと三条通りがぶつかる辺りでは、地面よりも高くなります。

なので、道を抜けるためのトンネルが作られているのですが、「まんぽ」とは、トンネルを意味する古い言葉となり、変な名前と思ってしまう「ねじりまんぽ」とは、ねじれたトンネルということになります。

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とても雰囲気のある、レンガのトンネルです。

そして、中を見ると、本当にねじれているのが分かります。

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インクラインの重さに耐えられるように、わざと螺旋状に積んでいるそうです。

このトンネルと抜けると、南禅寺まで続いています。

道なりに歩いていくと、金地院の門に出てきます。

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門をくぐって、左に向かうと、南禅寺。

さらに進んで、南禅寺の敷地内には、有名な水路閣まで行くことが出来ます。

水路閣

サスペンスドラマ(犯人が追い付けられるシーンとか)のロケや、明治時代以降の京都が描かれる漫画に登場したり(○○○○剣心とか)するので、とても有名な風景になっている、南禅寺水路閣。

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これ、南禅寺のお寺の敷地の中にあります。

作られた当時は、反対も多かったそうですが…(そりゃそうですよね)、実際に完成した暁には、多くの方が見学に来られたとか。(それもそうなりますよね)

この景色は、どんな時代にどんな方が見ても、興奮してしまいます!

それがお寺の中にあるというのが、さらに、情緒を掻き立てます。

さらに、このアーチの上は、びわこから運ばれてきた水が絶えず流れていて、ザーという水の音が響きます。

これは、内外から多くの方が訪れるのも良く分かります。


実は水路閣の上も見ることが出来るのですが…

残念ながら、2020年の6月30日まで、こちら、補修工事をしています。

(もう少しですね!)

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工事が終わったら、また、散策しに行ってみたいと思います。


終わりに…

南禅寺は見ごたえのあるものが集まっていて、今回は琵琶湖疏水の部分だけを取り上げてみました。

書いてみると、琵琶湖疏水だけでも、まだ足りない位です。

調べれば調べるほど、奥が深い京都に気が付くのです…



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