見出し画像

IKEUCHI ORGANICを訪ねて

先日ご縁あってお付き合いのあるIKEUCHI ORGANICの今治本社兼工場を訪問し池内代表にお話をお伺いする機会を作っていただきました。
これまでの会社の変遷や現在取り組まれている事業、会社経営の哲学、社会課題に対する意識などをお忙しい中3時間ほど直々に伺うことができました。環境意識の高い会社として注目されがちなIKEUCHI ORGANICですが、ものづくりに対するこだわりと関わる全てのステークホルダーが幸せになる商売を実直に目指してこられた結果に過ぎないということに感銘を受けました。
これからの時代の会社の在り方を考えさせられる有意義な時間をいただきました。


以下、インタビューの一部を記事に書き起こし読者の皆様にも共有させていただきたいと思います。会社経営をされている方、会社の中でCSRを担当されている方など幅広い方々に読んでいただきたい内容になっております。


ボリュームが非常に多く内容も濃いので数回に分けて記事にしたいと思います。
第一回は環境意識に関して、会社の変遷に関しての内容をアップいたします。
ご興味のある方は少々長くなりますがぜひご一読ください。

画像4

池内代表:以下 I
当社代表白石:以下 S
KyotoCraftMarket稲葉:以下 K
K:「サステナビリティ・持続可能性」が叫ばれ始めて久しいですが、そんな時期よりもはるか前からそういった取り組みをされていますよね?
それは単純に「良い商品を作りたい」というところから生まれているんですかね?
I:環境を切り口にしていることは間違いなくて。その中で僕らが考える一番環境に良いものというのは作ったものがより長く使えるこということが第一の基本。自分たちが、IKEUCHI ORGANIC株式会社としてやっている中がどれだけ環境負荷が少ないモノづくりができているかというのが基本で。
「綿がオーガニックです」っていっても綿を僕らが作っているわけではないので
それはイケウチの環境負荷ではないんです。
だいたい僕らの業界であるのが「オーガニックコットンを使っているので僕ら環境にやさしいです」っていうんです。
それに対して僕らは「おかしいだろって」
オーガニックコットンで地球に優しいのは作りにくい綿を作っている農家の方と高く買ってくれているエンドユーザーの方で、メーカーとしてIKEUCHI ORGANICは環境を商品にして商売しているだけで環境に対しては何もしてないんです。だから自分のとこの環境負荷をどこまで下げられますかってことがテーマになってくるんです。
K:なるほど…。もともとご自身も環境意識は高かったということですか?
I:いやー、よく言われるんですよ。「そんなじいさんが環境意識高いっておかしいだろって。」笑 瀬戸内海って昔泳げなかったんですよ。汚くて。
今もうめっちゃ綺麗でしょ!
K:あーっ、逆に昔のほうがわかりやすく実感があったんですかね…
I:僕らが育ってくる段階でいっぱい公害を体験してきているので、その辺をどうにかしなくてはいけないということが肌感覚でわかっているので。
K:なるほど。今若きを生きている人よりもよりリアルに…
I:だから人によっては「瀬戸内海はこれからだんだん汚くなっていきますよね」とかいうんですけど
「そうじゃない」と。笑
K:綺麗になったんだよと 笑
I:年々めちゃくちゃ綺麗になってるんだよと。

画像4


S:それはあれですか…造船の油とかで汚れていたんですか?
I:違います。排水です。
排水の基準を物凄い厳しくしたんですね。
で、その時作られた基準は瀬戸内海に面する九県が一緒に作っているんです。
今まであるものは認めます。と
新規のものはこの基準ですということで、早い話新規の染色工場はもう認めないという基準なんです。
S:それだけ厳しかったということですね。
I: はい。タオルは分業制なので、通常はタオル会社が染色工場に基本委託しているんですね。
ところが今の染色工場のやり方では自分たちの納得がいくものができないということで向こう見ずで染色工場を作っちゃったんですね。
新しい染色工場というのは作ってはいけないというところで作っているから新しい基準に合わせないといけないので。
瀬戸内海の基準って琵琶湖より厳しいんです。
S:それは99年のことですか?
I:いや、その基準が決められたのは80年代です。
僕らの染色工場が稼働し始めたのは94年なんですね。
その段階では自分たちの理想の染色工場を作るために基準をクリアしただけで、環境をクリアしたいから綺麗にしたわけではないんです。
だから動機が全然不純なんです。笑
動機は不純だったんだけれども、染色工場を作ったおかげで世界最先端のエコロジーを実践している人たちと出会う機会があって、環境面をより意識したモノづくりをするようになりました。
S:じゃあその取り決めが大きかったということなんですね。
I:そうです。
S:つまり時代が後からついてきたってことですね。
I:といえばついてきているし、僕らはもう違うところに向かっているし。
逆に環境を売り物にしている会社が多いじゃないですか。
僕はもうそういうものに対してものすごく嫌で…。だから免罪符のようにエコロジーを使うのは違和感があります。

画像4

S:笑。ずっととんがってはったと思うんですがオリジナルブランドができる前はOEMで作ってはって…
面白くなくなったんですか??
I:いや、自分で作ったものが買い戻せなかったことがほんとに面白くなかったんです。
(かつてOEMで作っていた大手ブランドのタオルを買い戻し販売を試みた時に先方より断られた経緯があって。それ以降OEMではなくオリジナル商品の開発・販売に向かう)
S:そこが転機になったということですか?
I:そうですね。そのことも転機になってます。
同時にそのころヨーロッパもアメリカも発展途上国からの繊維の輸入規制がかかってたんですよ。
で、日本だけ輸入規制がなかったんです。
だから日本は世界のゴミ捨て場だったんですよ。
二十世紀の終わりくらいに。
それで、僕らは輸入規制(線維セーフガード)をかけてくれって。僕らもまだ若かったから、タオル組合の意気盛んな社長たちが中国とベトナムに国際裁判をかけようと。
結果的には当時の通産省と外務省がやる気がなくて3年間検討中、検討中で結局かからなかったんですけど。繊維セーフガードとは、輸入急増による損害を回避するための関税の賦課または輸入数量制限を行うもので、3年間、
輸入量を前年比107%以内に抑えてくださいと要望を出しました。その間、3年以内に僕ら四国タオル工業組合(現:今治タオル工業組合)は構造改善します、と改善計画書を書きました。
で、書いた通りにすぐに行動したのは、IKEUCHI ORGANICだけです。
S:そこ以外はもう…
I:もちろん10年遅れて組合も、今治がタオル産地としてブランドが自立でき、海外にも輸出して販路を広げようと動いた。
ただ、一つの統一された今治タオルのブランドロゴを作ったことで、今治タオルが有名になっちゃったのでOEM体質は大きくは変わってないんですよね。
S:自分たちが作りたいものを作ってないってことですか?
I:いや、作りたいものは作っているんだけど、売れるものが作りたいってことなんだよね。きっと。
S:事業転換をしようと思った時はOEMは断ったんですか?
I:売上の70%を占めていた卸先の会社が2003年に自己破産したんですよ。この先このままブランド物のタオルを作ってくれたら良いという話があったんだけど、なんかそれをやってもまた同じことを繰り返すよなと。
自分たちが作った構造改革案って自社ブランドで生きていく道なんだからこっち側でいこうという。そこで割り切っちゃったということ。
S:それが21年前か…
I:自社ブランドを作って21年経っているので長い月日を経て、一人ずつファンが増えてきてという感じです。2013年に創業60周年を迎えたので、次の60年後を考えてもう一回ブランドを整理しようと。
当時はブランドが三通りの呼び方が混在していて。一つは会社名でもある「池内タオル」。二つ目は、海外(アメリカ)では「IKT」って呼ばれていたんです。さらには、日本国内では「風で織るタオル」と言う愛称を付けられていて。
そのころ今治タオルも有名になってきて。池内タオル=今治タオルみたいな勘違いをされているお客様も多くて問い合わせも多かったです。
今治タオルはどこが作ったのかって書いてないんですよ。
そこらを整理するためにやった結果が「IKEUCHI ORGANIC」になって。で、うちその時オーガニック比率100%じゃなかったんですよ。92%ぐらいだったんです。じゃあ最後のこの8%を変えてモデルチェンジしようと、今日から100%オーガニックにしますと宣言して。同時に直営店を東京、京都、福岡と出店したんです。直営店を作って今治タオルとIKEUCHI ORGANICってのは違うんですよって。(IKEUCHI ORGANICは、今治タオル工業組合に所属している会社・ブランドの一つです)
S:めちゃくちゃ説明してはりますよね。笑
僕もIKEUCHI ORGANICを使った後にネットで今治タオルを取り寄せてみたんですね。そしたらもう、全然違うなと。笑
でも、同じだと思い込んでる人多いですよね。

次回に続く…
次回は原材料を生産しているタンザニアやインドでのお話。
フェアトレードなどの社会的な活動のことについてのお話を記事にいたします。

画像4

#


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?