深蒸し茶IPAができるまで
いよいよオンラインストアでも店頭でも販売を始めた新作茶ビール「深蒸し茶IPA」!
和束の茶葉を使い、2012年にはじめて茶ビールの試作を開始してから丸8年、茶ビールシリーズ4作目にして快心の出来栄えです。
これまで茶ビールとして商品化してきたのは、煎茶エール、ほうじ茶スタウト、かぶせ茶ホワイトエールの3種類。おかげさまで少しずつ人気の出てきた茶ビールは京都ビアラボの原点でもあり、そこに加える新作についてはずいぶん試行錯誤しました。
今日はそんな「深蒸し茶IPAができるまで」のお話をしてみたいと思います!
なんとしても作りたかった、お茶のIPA
茶ビール製造に際しては、お茶の特徴をどう出すかを念入りに検討します。
「茶葉の特徴」と「ビアスタイル」を組み合わせるのですが、茶ビールシリーズ3種類が完成した当時から、次に茶ビールを作るなら、どんなお茶でどんなビールを作れるか、さまざまなシミュレーションをしてきました。
なかでも、なんとしても作りたかったのが「お茶のIPA」です。
IPAは、ビール飲みの中でも安定してファンの多いビアスタイル。
大勢の方がクラフトビールを好きになるきっかけとなるビールでもあります。
ビールのスタイル名として圧倒的に知名度もあり、ビアラボを代表する茶ビールとして、IPAはぜひとも押さえておきたいと思っていました。
○○茶 × ウェストコーストIPA
そんなIPAに、どんな茶葉を合わせるといいか、何度も検討を重ねました。
作りたいのは、苦味とハイアルコールが特徴の王道ウェストコーストIPAです。
人気のIPAを入り口として茶ビールをより広く知ってもらいたいという思いもあったので、根っからのIPA好きの人たちにも「美味しい!」と驚き喜んでもらえる茶ビールを作らなければ…! という意気込みもありました。
「最もベーシックな苦味強めのガツンとくるウエストコーストIPAを茶葉と合わせて、その特徴である苦味をお茶で表現したい!」というのが今回の醸造のテーマです。
茶ビールの新作を作るにあたって、まずはこれまでの茶ビールで使っている、煎茶・ほうじ茶・かぶせ茶という3種の茶葉と同等に並べられる、遜色のないインパクトを持つ茶葉が望ましい。そして、作りたいビアスタイルであるIPAは苦味の強さが特徴なので、お茶の風味を今までよりも強く生かせるはず。(通常、ビールの苦味は主にホップから取りますが、茶ビールでは、そこに茶葉本来の苦味を抽出し、ホップとのバランスを調整して作るのです)
「茶葉としてのインパクトと、お茶の深い味わい」
この2つを兼ね備えたIPAに最適な茶葉を、和束の茶農家さんと一緒にいろいろと検討した結果、たどり着いたのが「深蒸し茶」でした。
和束ではレアな深蒸し茶
深蒸し茶は、煎茶よりも長い時間をかけて蒸したお茶です。
実は、和束では深蒸し茶を作っている農家さんは少ないのですが、和束の主要な茶葉から選ぶというのではなく、広く茶葉全体からIPAにベストなものを選びました。
深蒸し茶自体は苦味は強くない茶葉ですが、お茶の味わいがしっかり出つつ、渋みが出にくいので、IPAにマッチするのではないかと考えたのです。
そしてここから、今度は醸造における試行錯誤が始まりました。
「お茶を感じ、ビールとしてうまい」の両立が難しい!
実は茶ビールを作り始めた頃、「お茶の風味や特徴を感じてもらいたい!」という点をかなり頑張って取り組んだのですが、一方で「ビールとしてのおいしさ」とのバランスを取るのに非常に苦労しました。
お茶を感じてもらおうとすればするほど、「お茶でビールを薄めた飲み物」みたいになりがちで、お茶の良さとビールの良さとを両立させるのが大変難しかったのです。
今回の新作「深蒸し茶IPA」は、京都ビアラボのブリュワーたからが作り方をずいぶんと研究し、試作を重ねて、苦心の末に生み出しました!
茶ビールの新製法を発見!
今回の深蒸し茶IPAを醸造するにあたって、経験豊かな他のブリュワリーのブリュワーさんにも話を聴き、今まで行っていた茶ビールの製法を根本から見直しながら、より良い醸造方法を見出すべくチャレンジしました。
ビール醸造の過程の、どのタイミングでどのくらいの量のお茶を入れるか。何日間お茶を抽出するか。温度は何℃くらいが最もおいしくなるのか。時間が経ったときにお茶の風味はどう変化するのか…。
はっきり言って、無限の組み合わせと可能性が考えられます。
しかも正解はあってないようなもの。
うまく行く保証もありません。
目の前に立ちはだかるこの高い高い岩の壁に、たからが挑みました。今までの経験値やデータから「こうじゃないか?」という勘を働かせていくつかのルートを導き出し、根気強く何度もトライし続けました。
そしてついに…
たどり着けたのです!
新しい製法で!
僕たちが思い描いていた理想の「深蒸し茶IPA」に!
IPAファンはもちろん、みなさんに飲んでいただきたい!
こうして、ようやく4作目の茶ビール「深蒸し茶IPA」が完成しました!
お茶の苦味を生かした、ウェストコーストスタイルのIPAです。
深蒸し茶の⾹りとホップの⾹りがバランスよく組み合わされていて、IPAの特徴である苦味も茶葉でしっかり感じてもらうことができる自信作です。
スタッフではじめて味見をした瞬間、そのおいしさにみんなで大興奮しました!
IPA好き、茶ビール好きのみなさまだけでなく、全てのお客様にご賞味いただきたい新作茶ビールです。
試行錯誤を繰り返すその過程も、京都ビアラボが「ラボ」たる由縁。
僕らが探究し探し当てた、心地よい苦味、ガツンとくる「IPAらしさ」、口の中に広がるお茶の⾹りの余韻を、どうぞお楽しみください。
Love beer, Brew beer.
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