見切り品を、アタリに。「ぴっくる」

探求テーマ「食品ロス」

 食に関わる課題についてリサーチを進めていく中、日本の食料自給率の算出方法がカロリーベースだという特徴であったり、コンビニの手前取りなどの取り組みがあるという気付きを得ました。
 
日々の食事は生活を彩る重要な存在で、食に関わる課題は私たちにとって身近な社会課題であると感じ、私たちFチームは「食品ロス」問題に着目しました。


課題発見について

「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指します。農林水産省 令和2年度のデータでは、年間約522万トンもの、まだ食べられる食料が捨てられています。この数字は、大型トラック約1,430台分の廃棄に匹敵し、年間1人当たりの食品ロス量は41kgで毎日おにぎり一個分を捨てている計算になります。

この本来食べられるのに捨てられてしまう食品ロスを「資源」として考えられるのではないかと私たちは考えました。

ところで、みなさん。
スーパーに買い物へ行ったときのことを思い浮かべてみてください。

賞味期限が近いものよりも余裕のあるものをわざわざ奥から取って、選んでませんか?ついつい傷がないもの、選んでませんか?

これらのように、賞味期限が近いものや食べられるのにも関わらず傷がついてしまった食品は「見切り品」と判断され、9割のスーパーで販売されています。

私たちは食品ロス削減を解決するコアアイデアとして、この「見切り品」に着目しました。
「見切り」をつける行為は、見切り品に対して“ハズレ”といったネガティブな印象を持っているからではないでしょうか。
そういった印象から手に取ることを避けてしまい、結果的に食品ロスにつながってしまうのだと考えられます。


解決に向けて

この、見切り品は「ハズレ」だという認識をポジティブに変えるべく今回提案するのが、" 見切り品を、アタリにするアプリ『ぴっくる』"です。

「pick:選ぶ」と「当たる」を組み合わせたネーミングで、「ちょっといいこと、しようかな」と、見切り品を“アタリ”と位置付ける具体的な取り組みをご紹介します。

ぴっくる

展示の様子

『ぴっくる』はロゴマークでの可視化とアプリ運用の2軸で展開しています。

【ロゴマーク:可視化】
『ぴっくる』では、見切り品を定価品と同様に扱います。この見切り品と定価品を見分けるために、アタリを示すロゴマークを梱包袋などにつけ、見切り品を見つけた際に「アタリだ!」とポジティブに認識してもらう目的です。

ロゴマークシールを貼った商品

【アプリ:運用】
アプリは、スーパーなどの既存アプリに搭載するような形で提案致します。ポイントの使用用途は、1円=1ポイントといったようにお金として扱わず、こども食堂やフードバンクといった寄付のきっかけとなるような使用用途につなげます。

「ちょっといいこと、しようかな」


社会に実装されることで

このロゴマークとアプリの2軸で展開されている『ぴっくる』が社会に実装されることで創出される価値は、

【消費者側】
見切り品を買う動機付けや正規品と同じ値段でプラマイゼロではありますが、ちょっとした行動で社会貢献できた!という気持ちを持てること、そして社会とつながるきっかけをつくります。

【店舗側】
ポイントが貯まることでお客さんを取り込むことや社会への配慮を考える投資家、ESG投資にコミットすることができます。
他にも、取り組みが社会的評価につながることで企業価値を生み出すことができます。
これらの生み出された企業価値によって、社会貢献している企業に就職したいと考えている人たちを採用することで人材が潤い、「選ばれる」スーパーになる。そしてゆくゆくは、チラシをつくらずにお客さんを取り込むことができるといった流れを生み出すことができるのではないでしょうか。

これらの取り組みから、見切り品に対する意識の変化を促し、見切り品を「選ぶ」という目を育てることができます。
また、食品・食材を無駄なく大切に使っていくことが重要です。

見切り品を「選ぶ」という目を育てること。
それは、見切り品を選ぶことのできる知識があるという考え方もできるのではないでしょうか。

そして、本来捨てられてしまう食品に価値を見出し、無駄なく使うことができるようになります。

このようにして、「ちょっといいこと、しようかな」と、見切り品を手に取るというちょっとした行動から直接ではないけれど社会とつながり、持続可能な未来への取り組みとしてつながるのではないでしょうか。

そして、私たちの展示を通して最終的に、ぴっくるを活用することで消費者が成長することを目標とし、食品ロスという観点から持続可能な未来を目指します。