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月に吠える獣2

 醍醐を引き摺りながら男はテントを広げ、中に入っていく。
半円状のステージ、そしてそれを囲うように観客席が設置されている。

やや明るさを抑えた照明に照らされるステージに中心に男は醍醐を半ば放るようにして放つ。

「紳士淑女の皆様。今夜もこのドロール・サーカス団へようこそ!」

男は両手を観客席に向けて広げ、恭しく一礼する。

「さて、今夜の目玉はこちら。なんとこの少年、あの狼男の末裔でございます。え?狼男なんて空想上の生き物だろ?それが実際に居たのです。さあ、皆様の目で実際にご覧ください」

団長の声に客席からそんなものがいるはずないとの声が上がる。

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