「何のため」にトレーニング

高校生最後の夏、ジャパンの名フッカーだった藤田剛さんに言われました。

「ベンチプレスは何のためにやるか、考えたことあるか?」

このアドバイスが無ければ、競技人生は大きく変化していたでしょう。

「目的地」はどこ?

指導者や先輩から「トレーニングをしなさい」と言われ、場合によってはノルマのようにやらされたことがあるかもしれません。
ウェイトトレーニングはやれば成果が出てきて、挙げられる重りの数字がだんだんと上がっていきます。
他にも色々なトレーニングの種類・種目があり、それぞれ動作の改善やタイムの縮小などの「成果」が得られていきます。

そして、大抵はそこまでで終わってしまいがち。
それらの結果が最終的にどんな動作や局面で役立つか、役立てているのかということを「考える」機会が少ないのではと感じます。
その結果がこんな発言につながります。

「あいつ、トレーニングは強いのに、試合ではいまいちだな」

「目的地」がトレーニングになってしまっていれば、こうなってしまっても無理は無いと感じます。

では、「ベンチプレス」で胸板を厚くすること。
それで、どこに向かいたいのでしょうか。

全ては「プレーの質」のため

「トレーニング」と一言で言っても色々なものがあります。
ですが、その全ては「プレーの質」を上げるためにやるのだと思います。
これは「パフォーマンス」などとも表現されるかもしれません。

なので、トレーニングには・・・

「ランでより速く走りたい」
「回避のステップワークを改善したい」
「ラインアウトのリフトのスピードを上げたい」

などの具体的な「目的地」がある(あった)はずです。

例えば、ベンチプレスで「胸板を厚く」するのは。
スクラムで相手の首を抑え込むことがし易くなるかもしれない。
フィールドでヒットした際の与える・受ける衝撃が変わるかもしれない。
等、「プレーの質」を変化させたいからではなかったでしょうか。

最後に

良くあるのが、ウェイトの重さが重視されてしまう等といった「手段が目的」となってしまう場合です。
大事なのはトレーニングの結果「プレーの質」を改善することで、そこがブレてしまうのは勿体ないと感じます。
コーチ目線として、選手をセレクションする際にトレーニングの数値も考慮に入れますが、それだけが全てでないことは言うまでもありません。

トレーニングも、あくまで「その種目を楽しむための手段」です。
ただトレーニングをやらせるのも良いですが、それでどんな「未来」になるかをプレイヤー自身にも考えてもらうこと。

「当たり前」のように思える事でも、大切にしていきたい部分です。

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