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『駐夫として生きる』:シンガポールで育む新しい日常~5ヶ月の振り返り~

2023年10月にシンガポールにきて駐夫歴5ヶ月が経過した。

駐夫とは何か??
正しい定義は分からないが、ここでは奥さんの海外赴任に帯同している夫のことを駐夫と言っている。

はたして日本人駐夫は何名いるのか?
正確な数値はないのだが、「妻に稼がれる夫のジレンマ」の著者であられる小西 一禎さんが作られたFacebook内のグループ「世界に広がる駐夫・主夫友の会」には現在約150名の現役駐夫、元駐夫、プレ駐夫(駐夫予定)が参加して交流をしている。もちろん参加されていない方もいるので、正確な数字でないもののとても少数・極めてマイノリティな存在だとはご理解いただけるとは思う。
(ちなみにシンガポールの日本人人口は凡そ3万人で駐夫は6名)
いったん150名と仮定すると、およそ日本人の100万分の1その割合はなんと、、、、

「0.0001%」

ちなみに「0.0001%」はお年玉年賀はがきの1等当選率と同じ。
(当たった人しってますか?僕は知りません)
東京オリンピックに参加された日本人選手数は582名とのことで、オリンピック選手よりも貴重とのこと。

そんな希少生物である「駐夫」について当事者の僕が本日は書いていこうと思う。とは言え僕はまだ駐夫歴5ヶ月の新米駐夫なので、あくまで新米駐夫が書いていると認識の上読んでいただきたい。

<読んでほしい方>
・駐夫(特にこれから駐夫予定の方)
・駐妻(特にこれから駐妻予定の方)
・駐夫/妻の配偶者
・キャリア中断中の方
・キャリア中断中の配偶者を持つ方
・ジェンダー論に興味ある方
・珍しい生物に興味ある方
・主夫に興味ある方


駐夫について

厳密に定義があるわけではないが、駐夫は奥さんの海外赴任に帯同している夫なので、主夫の中に「駐夫」があるということになる。

駐夫の特徴は奥さんの人事異動により自らのキャリアを「急遽」中断(退職や休職)しているということ。駐夫>キャリア中断(退職もしくは休職)の判断のもとの決断ではあるが、決して主夫を「希望」して主夫になっていないというのが駐夫の特徴であるとは思う。

事実、私も妻の内示後、1時間後には主夫になることを決断し、当日に当時の上司に退職の相談をした。

駐夫になるまで

様々なケースはあるので僕が聞いたこと、僕の実例だけではあるが、とにかく赴任するまでは忙しい。

・病院関係
・予防接種
・パスポート申請
・金融商品の切り替え
・年金、社会保険の手続き
・国際免許の取得
・インフラ(電気、水道、ガス、ネット)解約
・車の売却
・家の貸し出し
・住民票の除票
・転出届
・学校への転校届
・引っ越し荷物の整理(航空便 船便)
・赴任先の家、学校探し
などなど

ここに書ききれないようなことが、まだまだたくさんある。
その上急遽決まった休職もしくは退職。引継ぎなどはもりだくさん。
とにかく赴任前は多忙。

我が家に関しては妻の赴任前1ヶ月半前にうけた内示から、約1か月半で現職への引継ぎ、そして上記対応事項に追われた。妻の内示日である10月1日に全員でシンガポールへ向かいたかったがビザの問題や日本での対応事項もあり、20日間遅れでシンガポールへ入国。20日間は日本でワンオペをしながら、上記対応と育児に追われた。正直僕は連日、疲れ果てていて記憶がない。

駐夫1ヶ月目

引き続き忙しい。
赴任国での手続き、生活環境の整えることに奔走する日々。
まだ船便も到着しないので、生活インフラが整わず苦労が多い。

我が家に関しては、入国後学校入学までに2週間あったので、8歳5歳の息子2人を連れながら各種申請やインフラ整備・観光などを行っていた。まだ船便も到着しないので、IKEAで買ったプラスチックの食器で約1ヶ月食事をしていたのが懐かしい。1ヶ月目は忙しく・そして慣れない環境ということで、どこか緊張感があった。

駐夫2ヶ月目~3ヶ月目

このあたりの最大のイベントは「船便」の到着。
生活にも慣れ始め、そして子供たちも学校に通いだし、船便が到着をし、ようやく「日常」が訪れるタイミング。

しかし駐夫の精神状態はここでどん底になることが多いとのこと。
俗に言う「船便問題」。以下スペースでも「船便問題」について触れられておりますので、是非聞いていただきたい。

僕も御多分にもれず、このタイミングで精神的にどん底になった。
赴任前・赴任直後のとてつもない忙しさから、急に訪れる「日常」。奥さんや子供は前を向きながらいばらの道を走りだした、だけど駐夫に訪れる日常には前に道がない感覚。家族は走り出したのに、自分だけ立ち止まっている情けなさ。自分が何者かが分からない、いわいるアイデンティティロス。もがいてみるんだけど、どこに向かっているかも分からない。そんなどん底な精神状況だった。その当時については過去にも書いてますので是非ご覧いただきたい。

駐夫3ヶ月以降

どん底から何とか脱出していく時期。

僕は上記過去投稿にも書いているが、「元同僚との再会」「妻の存在」で現在地を俯瞰して見ることができて、僕がやるべきことが定まったタイミングだった。幸いにも僕は「元同僚という近い存在にロールモデルがいた」こと「妻の理解」があったので、僕はもしかして早くどん底期を脱出できたのかもしれない。

(もしどん底から脱出できない駐夫の方がいれば是非連絡ください!!!)

駐夫になったからこそ分かったこと


・稼いでいれば夫として成立していると思っていた幻想
・いたるところで残るアンコンシャス・バイアス
・パートナーの偉大さ

稼いでいれば夫として成立していると思っていた幻想

僕には2人子供がいて当然妻には2回産休・育休を取得してもらっている。当時はコロナ前ということもあり、リモートではなく出社が当たり前の時代。仕事をしている(=稼いでいる)というのは自宅で育児をしている妻と同等の価値があると思っていた。正直、仕事終わりに帰ると子供がまだ寝ていなくて自由な時間がないかもという理由で、同僚と飲みにいったこともあった。罪悪感もなく、妻には「料理作らないでいいから楽でしょ?」というくらいの気持ちだった。
今妻の飲み会が入ると、とても嫌な気分になる。それって「必要な飲み会?」って聞きたいくらいに。全く育児と仕事の大変さは釣り合っていないと主夫になって気づいた。

いたるところで残るアンコンシャス・バイアス

僕自身は言われたことがないが、駐夫になる男性に向けて同僚や友人から「本当にいいのか?」など、駐夫になる決断に考え直させるような話も聞く。一方で駐妻になる女性に対してはキャリア中断を考え直すようなことを言う同僚や友人はほぼおらず「よかったね、おめでとう」と言われることが多いようだ。これは社会が「男性は働く存在」「女性は旦那さんを支える存在」と定義していることがよくわかる。

また主婦(夫)という仕事を楽だと感じている男性は非常に多く、主夫であることを伝えると
「うらやましい!僕もなってみたい」
「日中何しているんですか?」

とよく言われる。どん底期は、この言葉を言われることが、とてもストレスで人と会うことも避けていた。

こういう言葉は傷つくのでやめていただきたいということではなく、僕自身も今も過去を振り返っても自分の立場だけでの発言をしてしまうので、相手の立場にたって発言をするというのは駐夫になってより気を付けるようになった。

パートナーの偉大さ

組織に属していない駐夫の海外生活は孤独やストレスが伴う。そのの数少ない味方・そして親友は奥さんになる。信頼できるパートナーがいるから困難を乗り越える力になる。日本では感じない小さなストレスや問題を一緒に解決していくことで絆は一層深まると感じていて、働いていた時より尊敬も出来るし、奥さんのことがよくわかってきた。

最後に駐夫から一言

(今日も良いこと書きます。最後まで読んでください。)
駐夫になってからと言うものの、辛いことが多く本当に心がおれた。だけど、今となっては徐々にではあるが自信も持ててるし、自分の選択は正解だっと自信をもって言える。

「駐夫になったからこそ分かったこと」でも書いたように、自分や家族・そして社会と言うものを俯瞰して見れるようになった。
更に、新しいことへチャレンジを日々できていることが大きい。仕事をしていた時よりも勉強もしているし、新しいテクノロジーにも触れるなど、様々な興味がわいている。仕事をしている時は明確なタスク・目標があり、目標達成の為に時間を使っていた。
他人が設定した目標ではなく、自分自身のありたい自分へ1歩1歩登っていけるのは駐夫ならではなと感じている。

駐夫の成長(もしくは挫折?)についてはこれからも定期的に発信していくので、是非楽しみにしてほしい。

あっちなみに、あなたが生まれてきた確率

「3億分の1」らしいです!!!
生まれてきてHappy!!!

悩める駐夫、キャリア中断中の方がいれば是非問い合わせください。

無料のキャリアカウンセリングも行っていますので興味ある人は、是非申し込んでください。


ではまた。



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