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作曲に才能は必要か

世界初のヴァーチャルポストハードコアバンド
Calling From The Reach(コーリングフロムザリーチ)のギタリストであり作曲担当のKyosukeです。

Illustrated by なぎ(@illust_nagi)様


ありがたい事にワタシは様々な方々に楽曲提供をさせて頂いております。

作曲家と演奏家として活動しており
所謂、職業ミュージシャンに分類されています。


作曲に才能は必要か

突然ですが本題です。
作曲に才能は必要なのでしょうか。
ワタシは必要無いと断言できます。

現にワタシは当然天才でなければ
音楽理論を理解はしていても感覚に結び付いていない(定着していない)し

ギターもベースもめちゃくちゃ弾ける訳でもない。可もなく、不可もなくです。

ワタシの自論にはなりますが
作曲作業で必要なのは

  1. トライアンドエラーへの辛抱

  2. 閃きと取捨選択

  3. コンディションを含めた「運」

幼い頃にブロック遊びをしていた感覚に近いと思っています。

コンディションが良くない時は本当に良いものが生まれない。
かと思いきや、万全な状態で作業に着手したところでヒラメキがまるでなかったりする。

そこでワタシが作曲に於いて日常的に意識してやっていることを紹介したいと思います。


  1. とりあえず手をつけ始める。

  2. 面倒くさいを削る

  3. 当たり前のレベルを上げる

  4. コンセプトを固める

  5. 完璧を目指さない

ひとつずつ、ざっくり説明していきましょう。


1.とりあえず手をつけ始める

どんなことでもそうですが、新しく物事を始めるのって面倒くさくないですか?
ワタシはそうです。
プロジェクト単位で振り出しに戻るので、毎回新しい事を始める感覚に近いです。
プロジェクトが終わったばかりだと切り替えが出来ていなかったり、だらけてしまったり。

ただ、手をつけ始めてしまえばそう面倒でもないんです。

皆覚えがあるかと思います。
読書感想文を書くのが面倒で先延ばしにしていたけど、いざ書き始めたら意外と書けてしまった。みたいな経験。

まずは作業を始める。
始めるという初期動作が無ければその先もないので。

JDI(Just do it) / Shia LaBeouf

「楽器を触れ。デスクがある人はデスクに座れ。座ったら、まずDAWを起動しろ。プロジェクトを作成しろ。」
Just Do Itって事ですね。


2.面倒くさいを削る

デモ作成に於いて、作曲に使用する構成は何ですか?と言われたら、ワタシの場合

  • ボーカル

  • バッキングギターx2

  • リードギター

  • ベース

  • ドラム

が最小構成になります。(これにシンセやストリングス等が追加されることもあります)

せっかく作曲するか!となった時に

「デモ作る度に毎回ドラムとかベースぽちぽち起動するのめんどいな、、、マスタートラックにエフェクト毎回入れるのだるいな…」

って人はプロジェクトテンプレートを作成してそれを使いましょう。面倒を削って楽していきましょう。

テンプレートやプリセットを作る。と言っても
それはそれで面倒ですけど、毎回毎回イチから作り直すよりは遥かにマシだと思います。

トラック単位にかけるエフェクトが大体同じ人はトラックプリセットも作成して、それを積極的に使いましょう
FXチェーンプリセットは特にワタシは重宝しています。

毎回同じ動作を毎プロジェクト繰り返してるのは
正直時間が勿体無いし、「面倒くさい」はやる気とイマジネーションを削ぎます。
面倒を削ることにフォーカスして、作業工程を見直してみましょう。

カードゲームにおけるデッキ作成に似ている作業だとワタシは思っています。


3.当たり前のレベルを上げる

1,とりあえず手をつけ始める。
2,面倒くさいを削る

上二つを実践した場合、日常の中で作曲家として当たり前のレベルは既に上がっているかと思います。

デスクに座ってDAWを起動したらテンプレートを使ってデモ作成いつでも開始できる状態にあると思います。
作業に必要なものが手の届く範囲に置いてある状態ですね。

さてデモの作曲です。
意識して欲しいのが、「前の作曲(プロジェクト)から何が進化したか。進化させられるか」を意識する事です。

必ずしもクオリティアップしている必要はありませんが、何かが前と違っている必要はあると思います。
進化か、深化か。

  • 前のデモに無かった要素を入れる。

  • 更に忠実に憧れの楽曲の空気感をトレースする。

  • 一見真逆の要素を混ぜ合わせて上手く自分のモノにしようとしてみる。

とかですね。

物作りをしたり表現者と名乗る以上、目指すべきは上であり、前なんじゃないでしょうか。(急な体育会系)

挑む段階で持つべきメンタリティとして、まず当たり前のレベルを上げる事を意識しましょう。

昨日より今日、今日より明日は更に一歩進んだ自分で居たいじゃないですか。
たまにネガティブになる日もあるけど、そんな日もあって良いんです。前へ進めてるはずです。創作ってそんなもんです。


4.コンセプトを固める

…と。ここまでごく基礎的な準備の話と説教くさい精神論の話しかしていない訳ですが、作曲をする上で一番大事で具体的なお話です。

作曲で悩んだり、すぐに詰まってしまう人に質問があります。

  • よし!作曲しよう!としてませんか?

  • どういう曲が書きたいのか決まっていますか?

  • 聴いた人がどう思うか考えて作っていますか?

  • どういう箇所で自分らしさを出したいのか、出せるのかを考えていますか?

  • その曲の色は何色ですか?

  • 季節や情景は頭の中にありますか?

  • その曲を書く動機となる感情はどこかにありますか?

コンセプトが無いのに「とりあえず」では物を生み出すのは凄く難しいと思います。「とりあえず」の楽曲しか生まれない。

動機となる感情が「人にすごいと思われたい。」だったとします。
まずは「貴方がすごいと思った曲」「すごいと思った展開」を思い出して、そのピースを繋げて組み立てていけば良いんだとワタシは思います。

どんなモノをすごいと思って、何で心動いたか。分析して、真似してみることからやってみましょう。

アナタの得意不得意が見えてくるはずです。


5.完璧を目指さない

これまでの全てを踏まえて、ワタシが一番大切だと考えるのがこれです。

自論ですが、完成=完璧と目指していたら創作は死にます。

なぜなら完璧は自分の中ではなく他者の評価の中にしか無いからです。

人や立場によって解釈は異なりますが…

例えば若さこそ完璧の象徴である人にとって、完璧は過去にあり
成熟こそが完璧の象徴である人にとって完璧とは未来にあります。

客観的視点でどうやって値踏み出来るでしょうか。

ワタシも自分の曲に自信はありますが、そのリリースのタイミングで出来る事をやり切った。
それに対するプライドだと思います。

自分の基盤となる評価や基準値を作りましょう

他人にまずは聴いてもらう。評価をしてもらう。
そこから納得のいく意見や、取り入れられそうな物を取り入れて昇華する。
要らない要素を削っていく。譲れない箇所は自ずと現れてきます。
残った部分が貴方の個性だと思います。

ワタシなら「貴方の曲聴かせて!」で最低でも4ジャンル(4パターン)で貴方らしい曲を聴きたいな。と思います。
同じような曲となってしまうと試行錯誤を汲み取るのが難しいので、、

とにかく数を完成させて、人に聴かせてみよう。

とりあえず完成させよう。

というのはそういう意図で言っています。
仕事仲間でも、友達でも、家族でも構いません。
意見を聞いて、レビューしてもらいましょう。
作品の踏み込んだ感想や、人がどんな情景が浮かぶか。
成果物の良いところ、改善点が見えてくるかと思います。

長くなってしまいましたが、理論上はこれを実践すれば誰しもが制作物を量産できるはずなんです。
これを出来なければいけない。という訳ではなく、やりたいけどモヤモヤしている。悩んでいる方への助言だと思って頂ければ幸いです。

悩んだ時に「なぜ」を逐一細かく考えてみるのも良いのかも知れないです。
もし曲が出来たら聴かせてくださいね!楽しみに待ってます!

Kyosuke

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