見出し画像

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編を観て感じたアニメのあるべき姿

前回のnoteの投稿が7/27と知って、自分のことなのに驚きました。

更新をサボり散らかしていました、こんばんは、バーチャルアナウンサーの京野聖也です。

世間は「鬼滅の刃」一色。私は東京在住ですが、地元の映画館でも15分刻みのスケジュールが組まれており、しかもどの時間帯もほぼ満席。

どうやらジブリの「千と千尋の神隠し」の持つ歴代興行収入一位(308億円)を更新する勢いだとか。

何が凄いって、ジブリ作品や新海誠作品のような長編アニメーション映画ではなく、あくまでアニメの続きですからね。

ミーハーなので私も鬼滅の刃無限列車編を観てきましたが、今回述べるのは映画の感想ではなく、映画館に行って大人気アニメ作品を観て感じたことです。

アニメの感想としては最高に良かったので早く劇場に観に行ってください。


アニメは誰のものか

アニメが誰のものかと問えば、視聴者も制作側も「みんなのものだ」というでしょうけれど、産業としてのアニメを考えれば、世界においても日本においてもまず、アニメは子供のためのものでした。

子供のためにあったアニメが日本においてどのタイミングで大人向けへと進化していったのかというのは、私が過去にnoteに書いているので、お時間あればこちらも参照してください。

世界ではミッキーマウスに、日本では鉄腕アトムに始まった「子供のためのアニメ」は日本において大人向けへと進化していきました。

画像1

ここで一つ「かんなぎ」などの作品の監督として知られる山本寛さんの意見を紹介します。

他国とは異なり、大人向けに進化してきた日本のアニメ産業において、山本寛監督はそれでも「アニメは子供の観るものであるべきである」と述べています。

独自の進化を遂げて海外からも広くカルチャーとして認められていてなお、本来の子供のためのアニメが、アニメとしてあるべき姿であるということです。

今の日本のアニメ業界

歪に進化してしまったというのは、「今の深夜アニメが乱立している現状」「一人の視聴者から多くの金を得るような深夜アニメの狭く深いマーケティングとマネタイズ」を差していると考えます。

私は就活生時代、有名アニメ制作会社の制作進行の方に「今のアニメ業界をどう思うか」という直球な質問をぶつけたことがあります(その質問の前に「確かに忙しいがしっかり休みはある」と伺っていたので、私が知りたかったのが労働環境的なところではありません)。

その答えは「今のアニメ業界はアニメを作りすぎている。もっと数を絞るべきだ」というものでした。

歪に進化していったアニメの現場で働く方の貴重な意見です。

画像2

山本寛監督は続いてこうツイートしています。

ここで大切なのは「歪に進化の途中で停留したまま」というワード。

これがどういうことかは、同じくアニメ監督の片渕須直さんのインタビュー記事をお読みください。

上記の記事で重要な箇所を二つ

①日本のアニメは独自に進化(ガラパゴス化)した結果、新しさを持ったものが作れなくなってしまった。
②日本において子供向けアニメは土壌が壊滅しているため、新規参入ができない。


「日本のアニメは世界からも大人気で、日本を代表する文化である」というのはもはや幻想で、日本のアニメはもう世界から見れば時代遅れのものなのかもしれません。

特に今の日本の中で、作り手の意識があまりにも現在のアニメーションに同調しているから、子ども向けになり得ない。子ども向けとは何なのかを、もっと真剣に考えたら違うものが作れるはずなんです。要するに、そうは言いつつ、海外から言われるジャパニメーションの延長線上で、子供向けのものをとりこんでいるだけのように見える。子ども向けの方へ自分が行かないで、自分たちの方へ子ども向けのものを取り込んでいるから、そうなるのだと思います。


私が映画館で見たもの

私は上記の意見に賛同していますから、一人のアニメ好きとして日本のアニメ業界を勝手に危惧していました。

そんな私が劇場版「鬼滅の刃」無限列車編を映画館に観に行って、驚いたのは子供の数の多さ、場内の半分ぐらいは小学生のお子さんであったと思います。

漫画はジャンプ作品とはいえアニメ時代の鬼滅の刃の放送時間は深夜の23:30、これは流血表現があるため。

しかし、努力・友情・勝利のジャンプ三原則がしっかり土台としてあるから深夜アニメでもまず初めに子供に受け入れられ、次いで単なる勧善懲悪ではない人間的なドラマに大人が惹かれていったと考えています。

自分たちの方へ子ども向けのものを取り込んでいるこれまでのガラパゴス化したジャパニメーションではなく、子ども向けの方へ自分が歩んでいった結果が、鬼滅の刃が持つ新しさ(新しさというよりはこれまで失っていて取り戻してくれたもの)、初日興行収入10億円という数字に繋がっているのではないでしょうか。

Amazonプライムで鬼滅の刃のアニメを視聴していたときにはわからなかったことですが、実際に映画館に足を運び、楽しみに席に座っている少年少女、映画が終わって泣いている姿や表情を観て、「アニメが子供向けに帰ってきたのかもしれない」と強く感じました。

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の感想をTwitterで調べると、「面白かったが、子供のマナーの悪さが気になった」というツイートが多く見受けられます。

確かに劇場に小学生低学年~高学年のお客さんが多いので、そのような場面に出くわすこともあるでしょうが、我々大人は「歪に進化した日本のアニメが、少しずつ本来あるべき姿に戻ってきた」と喜んであげるのがいいのではないでしょうか。


私はVtuberですので、もし良ければチャンネルにも遊びに来てくださいね!

㊟ハート形のボタンを押すと、私の好きな曲のうちひとつがランダムで表示されます。皆さんの知っている曲は出てくるかな?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?