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【全く存在しないシリーズ】葉羽エストレーノFW成瀬敬一が語る「挫折」(4,386字)

皆さんご機嫌いかがでしょうか。

今日は葉羽の練習場である松木グラウンドにて、開幕戦を終えた葉羽エストレーノに取材にきました。そこで私がピックアップしたのは昨シーズンから頭角を現して成瀬敬一選手にお話を伺ってきたので、その様子を記事にしたいと思います。

テーマは「挫折」、彼の七橋大学時代の怪我のエピソードやペロッチーノ監督との関係性などに触れていきました。つたない文章ではありますが、葉羽サポーターの方々に届けばと思って記事を作成しております。

まず先に取材に応じてくださった葉羽エストレーノの広報さんには快く許可を頂きましたので、こちらにてツイッターの広告をさせて頂きたいと思います。

開幕戦のマッチレビューはこちらから。

(本編)


僕「成瀬選手、お疲れ様です。開幕戦を終えていかがでしょうか。」

成瀬選手(以下、敬称略)「ありがとうございます。開幕戦は遠くにも関わらず葉羽から多くのサポーターの方に来ていただいたので絶対に勝ちたいと思っていたので残念です。ただチームとして昨季よりも高い所を目指しているイメージを共有できているのはポジティブに考えてもいいのではないかと思います。」

僕「なるほど。成瀬選手はスターティングメンバーとして起用されると知ったのはどのタイミングでしたか?」

成瀬「ペロさん(ペロッチーノ監督)は直前までスタートのメンバーを教えてくれないので(笑)、試合の前日でしたかね。去年もアンデルソンのサポート役としての動きを徐々に覚えつつあったので、そういった部分を評価してもらえたのではないかと。」

僕「ペロッチーノ采配は選手にまでサプライズという訳ですね(笑)それでは今回の主題となる『挫折』についてお話を伺っていきたいのですが、成瀬選手の一番挫折を感じた時を教えてください」

成瀬「そうですね。昨シーズンの前半はチームの要でもあったコウさん(葉羽FW渡邊幸一選手)が試合に出ていて、自分の出番も出られて大体最後の10分という限られた時間の中でのプレーももちろんしんどかったですけど、一番の挫折は大学時代の怪我ですかね」

僕「大学3年生の時の右膝前十字靭帯ですね」

成瀬「はい。怪我の痛みもそうだったんですけど、試合に出られない日々が続いていく中での心の部分が一番きつかったです。」

僕「やはり自分のいないチームの試合を観るのが辛かったですか?」

成瀬「そうですね。自分がいなくてもチームが回っているのを見るのが苦しかったというか、僕なんていなくてもなんともないじゃないかといつも思っていました」

僕「なるほど、怪我明け後もなかなか試合で結果を残せなかったのも心の部分の影響もあるかもしれませんね」

成瀬「間違いないです。あの時はチームへの貢献を考えた時に、怪我で遅れている分、自分でいかなきゃゴールを決めなきゃと視野が狭くなっていました。

僕「七橋大学のFWと言えば成瀬選手の1つ下に上島(現立宮所属)選手がいましたが、彼の存在はなにか影響はありましたか?」

成瀬「彼はよく飯に連れていったりと仲良くしてたんですけど、試合の時になるとパスを出さなかっただのもっと走れだのとよく喧嘩をしていました(笑)でも、僕が怪我した時に真っ先に駆けつけてくれたのはヨシ(上島選手の愛称)で、彼は僕がいないとやりにくいなんて言ってましたけどどうでしょうね。」

僕「なるほど、友好的な関係だった訳ですね(笑)」

成瀬「はい(笑)だから去年の最終戦で立宮と対戦した時にはユニフォーム交換をしたり、いまでもLINEでやり取りをするくらいですよ。」

僕「その時の試合では上島選手のゴールで葉羽が負けてますね(笑)」

成瀬「そうなんすよ(笑)あいつ、先輩に気を使えないですからね(笑)」

僕「怪我明けの試合で視野が狭くなっていると仰っていましたが、そこからプロに進んでいるということはやはり何か大きな変化があったのでしょうか?」

成瀬「あー、やっぱり辰巳さん(葉羽スカウト)が足繁く僕の所に通ってくれて、飯を食わせてもらったり、怪我明けで活躍できていない自分にも目をくれてるという安心感はあったと思います。辰巳さんに映像を見せられながら『ここはパスを選択すべきだったね』『サッカーはチームスポーツなんだから全体の利益を考えろ』なんて言葉をかけていただいて、やっぱりプロのスカウトは選手の内側まで見えてるんだなーと感じました。」

僕「なるほど、藤井辰巳スカウトの手腕はJリーグの中でも有名ですもんね」

成瀬「そうなんですね。それから七橋大の村上監督にもお世話になりましたね。怪我明けにも関わらず試合に出して貰って、思うようなプレーが出来ない中でも『気にすんな』と背中を叩いて貰ってました。普段は厳しい人なんですけどね。」

僕「村上監督は厳しいで有名ですもんね。あの時の七橋大はとにかく走るサッカーをやってましたし、練習も相当きつかったとか。」

成瀬「ただ戦術的な部分でもきちんと整備してる監督だったので、走れば走る分だけ結果が付いてくるのはチームとしてもやりやすかったですね。

僕「そうでしたね。東林地方のリーグで得点王でしたもんね。」

成瀬「2トップのコンビネーションが良かったのもありますね。プロになってからも味方を使う動きはいまでも活きてます。」

僕「なるほど、やはり引っ張り上げてくれる人がいたからこそ挫折からも立ち直ることができたと。」

成瀬「そうですね。ヨシもかなり僕のプレーをサポートしてくれていた部分はあったと思います。ただ試合に出られない日々は、僕は小学生からサッカーを始めたんですけどいままで一度もなくて、怪我をしている最中は本当に苦しかったです」

僕「なるほど、そうですよね。葉羽に行こうと決めたのはどのタイミングでしたか?」

成瀬「一応声をかけてくれているクラブはいくつかあって、中にはJ1のクラブもあったりしたんですけど、僕のプレーを一番理解してくれる葉羽で活躍したいという気持ちが強かったですね。」

僕「ただ1年目の前半はなかなか出番がありませんでしたね。」

成瀬「ペロさんも僕の事をよく理解してくれる監督で、試合中は結構熱い監督みたいに言われてますけど普段の練習では冷静な部分もよく見られますね。ただまだ準備してない前半に『ケイイチ、準備』と言われる時には『このタイミング!?』となる時はありますけどね(笑)」

僕「選手交代が早い監督でしたもんね(笑)去年はJリーグの監督の中で最も交代する時間が早い監督だったとか(笑)」

成瀬「やっぱりそうですよね!?(笑)試合に出てる時にも気を抜いたプレーをするといつ変えられるか分からないという不安もあります。」

僕「やはり成瀬選手と言えば昨シーズンのアウェイ松橋戦じゃないですか?2ゴールを決めて一躍ヒーローに躍り出た試合です。」

成瀬「あーやっぱりそうですね。あの時は雨が降ってて、アンデルソンが既にイエローを貰ってる状況だったんですよ。ペロさんはイエローカードに結構シビアな人ですし、ダービーということで負けられないという思いも強かったのかもしれません。ペロさんからは『お前がヒーローになる日だ』と肩を叩かれて、とにかく松橋が引いて守っている状況だったのもあってそれをかき乱すという狙いを持った投入だったみたいです。

僕「それで2ゴールの大活躍と」

成瀬「正直、1点目はラッキーでした。アンデルソンがいない状況で僕もほとんどマークされてませんでしたからね。相手のクリアボールがこっちにこぼれてきたのでシュートを打ってみたら入ったという感じです。2点目は相手がやや攻撃的になっていた所の裏を狙い続けていたらマトさん(的田善治)さんからめちゃくちゃいいパスが入ってきて、2人くらい抜いてフリーだったのでもうシュートを打つだけでした。」

僕「サポーターの間ではその2点目のゴールの瞬間に雷が鳴って『稲妻ゴール』なんて言われていたりしますね。」

成瀬「僕はそれに全然気づかなかったんですけど、映像で見返したらピカッと光ってましたね。それがダービーを下す逆転ゴールになったので、その興奮で得点の後の事はあまり覚えてないです。」

僕「それまで出番の少なかった成瀬選手としては最高の瞬間じゃないですか?」

成瀬「そうですね。やっぱり初めて後半のスタートから45分使ってもらえるという所と、ペロさんの『お前がヒーローになる日だ』という言葉は心にグッときました。自分としてはプロになってまだ得点がなかったので、いままで指導してくれたコーチや監督から電話がめちゃくちゃかかってきてましたね(笑)」

僕「なるほど。ペロッチーノ監督の情熱的な部分は選手の動力にもなるのですね。」

成瀬「僕たちの事を一番に考えてくれている所は常に感じます。今年の開幕戦の前にもサポーター席を見ながら『ここまで駆けつけてくれたサポーターのために』という言葉を全員にかけてくれて、やっぱり葉羽から静原までは飛行機とか使わないといけない距離ですし、彼らのためにも勝たなきゃと思ってました。」

僕「サポーターとしては嬉しい限りの言葉だと思います。」

成瀬「サポーターの応援ってやっぱり聞こえるんですよ。プレーに集中してる時にもやっぱり無意識でどこかにその声援が聞こえてきて、しんどい時に走り切る力になりますね。」

僕「まだ成瀬選手のチャントはないですが、やっぱり欲しいものなんですか?(笑)」

成瀬「そうですねー!やっぱり自分の曲があると興奮するんじゃないかと思います。アンデルソンの『アレアレ力を示せアンデルソン』ってやつあるじゃないですか。あれとかカッコいいなと思って、葉羽のサポーターのチャントのセンスは凄く良いと思います。」

僕「今季は成瀬選手のチャントができるといいですね。いろんな話をしてきましたが、最後にサポーターの皆さんに向けて何かメッセージをお願いします。」

成瀬「はい。去年は昇格後の目標点としてなんとか1ケタ順位に入りたいと戦ってきましたが、結果として10位で終わってしまったことを申し訳なく思っています。個人としても試合に出た時に誰よりも走り切るという思いでプレーをしているので、今シーズンも皆さんの後押しをよろしくお願いいたします。」

僕「ありがとうございます。今年は何ゴール決めたいですか?」

成瀬「それ聞いちゃいますか(笑)そうだなー、とりあえず2桁得点を目標に頑張ります!

僕「高い目標ですね、頑張ってください!今日はありがとうございました。」

成瀬「こちらこそです。」


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(インタビュー後の雑談にて彼の時計にはエンブレムが刻み込んであり、クラブ愛が伝わります)


ーー開幕戦で得点はなかったものの、フォアザチームの姿勢で走り続けた成瀬。その裏には怪我からの挫折で自分のためのプレーをしていた時代もあったという。昨シーズンから爆発的にヒットしたこのストライカーは、どんな活躍を見せてくれるのだろうか。

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