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大興奮の夜
ついにきた、この日
羊水検査のあと、しばらくは週に1回病院に通いました。
赤ちゃんが、何らかの理由でお腹の中で大きくならない(なりにくい)
胎児発育不全の専門外来です。
3人の先生のチームで診てくれるのはありがたく、
不安はたくさんあるけれど、なんだか安心。
言われていたのは、
・赤ちゃんはできるだけ長くお腹にいた方がいい
・赤ちゃんが元気なうちに外に出した方がいい
赤ちゃんがある程度大きくなったら入院して経過観察しましょう、
と言われていたので、
いつかは入院して早く生むのかなと思いながらも、
長くいた方がいい、という方が耳に残り、
(根拠なく)粘るつもりでした。
その頃、推定体重は確かまだ200g台後半だったかと思うのですが、
目指せ2000gでした。
病院は水曜日の午後、毎週。
7年間担当していたCATVの生放送も水曜日だったので
泣く泣く降板。
水曜日はお腹の赤ちゃん観察の日でした。
母の感覚として覚えているのは、
はじめ(仮)←胎児名 は、どうやらエコーで先生たちに見られるのが
好きそうに感じられたことです。
そしてほどなく、診察の時に先生から
「入院して赤ちゃんの様子を見て管理しながら
生むのに備えましょう。
もし元気がなくなったら早く生むこともあります。
すぐにではなくてもいいんですけど、
いつ来られますか?」
と言われました。
ついに来た。思ったよりかなり早い。
2015年7月15日のことです。
「8/8に仕事があるのでそのあとなら。」
「・・・・・」
どうもお話にならない様子。
その後も7/30の仕事のあとならなどと、
かなり譲歩したつもりだったのですが、
先生が言いたかったのは、“明日”だったんです。
もう頭の中は真っ白でした。
仕事どうなるの?明日って何?
すぐにではなくてもいいって言わなかった???
あとから聞いた話では、他の入院患者さんの中には、
診察を受けて一度も家に帰ることなく即入院、
という方も少なくありませんでした。
すぐって・・・そういう意味でした。
それと比べたら、私はすぐではなく、翌日の午後を選ばせてもらい、
小さな意地をはって?美容院に行ってからの入院。
でも本当に大変でした。
それだけ命に危険があるということをまず受け入れなければならない。
その精神状態で、入院の準備、仕事をすべてキャンセルして、
場合によっては代わりの方を手配、
いろんなことを受け入れるだけでも大変な時に、
今電話で話したい打ち合わせをしたい、と言われ、
夜遅い時間まで何度も電話がかかったり、
入院先に行くとまで言われました。
(ちなみにそちらでは、インフルエンザに罹った方の代役を前日に受けたことがあります)
何よりもその時の私は、そんな急に、
翌日から仕事に全部行かないということを
全く受け入れることができなかったんです。
事務所にも仕事先にも申し訳なく思っていました。
今思えば、そんな危険を抱えた人が仕事しようとしている方が
よっぽど迷惑なのですが・・・
赤ちゃんの命のこと、入院のこと、仕事のこと、
「きちんと引継ぎはしますので、待ってください」と言っても
深夜まで何回もかかってくる電話。
全然受け入れられず、たくさん泣いて、悔しくて、
眠ることもできない私と正反対だったのが、
はじめ(仮)
お腹の中でぐるんぐるん動きまわり大興奮。
「やったーーーー!!入院!入院!!入院!!!」
「これで安心だね、病院だ~。お母さん、よかった、やったね」
「わーい、病院大好き~!」
そんな風に朝までずっと興奮。
もちろん、私の精神状態のせいも大いにあるのでしょうが、
私にははじめ(仮)入院を喜んでいるように思えて、
くすっと笑ってしまったくらいです。
生まれてきた息子はまさにこういうタイプなので、
これは母のみぞ知る感覚なのではないかと思います。
エコーで見られて喜んでる感じとかもまさにそう。
「そんなに嬉しいの?安心なんだね」
「もう大丈夫だよ、元気に生まれてこれるよ、
一緒に病院行こうね」
一睡もせず、2015年7月16日(木)
24週2DAY
午前中に最後の抵抗、美容院に行ってから午後入院手続き。
はじめ(仮)がこの世に生まれるまで・・・あと21日
その日のメモには、
“病院のベッドにて、先のこと心細く涙”
とありました。
あれに憧れていたんですよ。
大きなお腹で花束をもらって、仕事を去る日を。
それがとても素直な気持ちです。
でも、はじめ(仮)があんなに喜んで、入院だ、安心だ、
と興奮してくれて、本当によかった。
ありがとう。
これもまた、はじめ(仮)母親にしてもらった体験でした。
そして、何から何まで世話をしてくれ、頼りになる夫にも、
改めて感謝します。
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