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cello tips②愛しい存在をハグするように

 前回は、チェロを弾くときの足について言及したが、今回からは上半身について考察したいと思う。

・楽器と触れている部分
 チェロに限らず、あらゆる道具において直接コンタクトする部分は指先を含めた腕の部分だ。それに加えてチェロは両膝の間に側板が、胸のうえに裏板があたることになる。また、チェロを構えた際、C線のペグ(糸巻き)が後頭部首の付け根あたりに少し触れる。そんで右手で弓を持ち、左手を指板の上に置いて弾くわけだが、その動作に至る前の段階で、チェロと、触れている身体の関係について考えたい。

・楽器との距離感
 まず、チェロを擬人化してみる。生きて感情のある存在と想像してみる。こっちも生きて感情のある人間だから、この場合、チェロと自分との距離は限りなく親密で近い。パーソナルスペースを侵食し合っている状態といえる。そうイメージして、チェロと自分の間に緊張関係がないかどうか、自分の身体や心理状態をチェックしてみる。大きな楽器なので、弾くのにエネルギーがいるし、始めて間もない頃や、新しいテクニックに挑んでいるときは、どうしても身体はぎこちなく緊張しやすい。

・バリアを解く
 この、チェロを生きてる存在に見立てて、チェロを愛しい存在(例えば子どもやパートナー、飼ってるペットとか)と思って構えよう。もしチェロに対してなんとなくバリアを張っている感じなら、それを解いてみよう。特に裏板と接している胸の部分は心理的緊張が表れやすい部位なので、胸がリラックスしていて、そこにチェロの裏板が寄りかかってくれている、的なイメージで。チェロにとっても、自分にとっても安心で心地よいポジティブな状態だ。そうすると、胸や首、肩など、緊張しやすい部分が幾分脱力でき、呼吸も楽になると思う。
 弾きながら、何かぎこちなさや、居心地の悪さを感じてうまくいっていないという方は、ぜひ、このイメトレを試してみてほしい。少し話を実際に弾く動作に絡めていうと、左手親指にギュ〜ッと力をいれて愛しいチェロ様の首(ネック)を締めていないだろうか?それめちゃくちゃチェロ苦しいから!ということで、左手親指は最低限添えるだけでなるべく力を抜いて、腕と、腕の末端である指先全体で優しくぶら下がるように置くことを心がけたい。

 今回は抽象的なイメージの話に寄っているが、次回以降はなるべく具体的な動作について綴っていけたらと思う。けど、イメージというのはとても大事だ、と長年練習に取り組んで思うので、皆さんもぜひ自分なりのイメトレをいろいろ試してみてください。表紙は、アンパンマンに出てくるチェロヒキーさんでした🤗

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