見出し画像

意識高い系LCCアカサ、波乱の幕開け✈️

はじめに

こんばんナマステ💜🧡Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

今日は時間なくて全然書けてなかった、 6月27日にClubhouse『インドの衝撃(インド大学)』で話したインドの新エアライン、アカサ=エアについてテキスト化していこうと思う。

というのは、ここ数日で大きな動きが2つあり、このタイミングでテキスト化しておかないと流石に情報がどんどん旧くなってしまうから。

その2つの動きのうちひとつは、もちろんアカサの新規就航。

6月末の講義の際は7月開始予定と話したけど、結局8月にずれこんだ。

それでもこれまでホントにやれるのかな❓と思ってたものがカタチになったのは大きい。

もうひとつは、記事のなかで触れることにする。

音声版はサボっていた自分と違って、インドの衝撃主宰の広瀬さんが速攻上げていただいているので、是非聴いてみてね(約22分)

それじゃあ早速、アカサについて日本語では結構早い詳細になると思われるテキスト化やっていこうじゃないの💜🧡

コモエスタ=アカサ

2022年8月7日、インドの新しいエアライン、アカサ=エアが就航した。

運営するのはSNV Aviation Private Limitedで、カルナータカ州ベンガルールに本拠地、マハラーシュトラ州ムンバイに本社を置くことから、ベンガルールのケンペゴウダ国際空港、ムンバイのチャトラパティ=シヴァージー国際空港、

トレーニングセンターがグルガオンに置かれることからデリーのインディラ=ガンディー国際空港、そのどれが拠点になるのかなぁ、と思ってたら処女飛行はムンバイーグジャラート州アフマダーバード間になり、

ムンバイとベンガルールの2つを拠点空港とすることになったみたい。

当面の就航地は前出のムンバイ、ベンガルール、アフマダーバードほか、ケーララ州コーチン、タミルナードゥ州チェンナイということでデリーには発着しないというところから始める様子。

誰がアカサを仕掛けたのか

CEOのヴィネイ=デュベ氏はムンバイ出身のインド系アメリカ人。

眼鏡をかけたいかにもインテリっぽい人。

アメリカン航空のオペレーションリサーチアナリストからキャリアをスタートさせ、 旅行テクノロジーを扱うセーバー社、デルタ航空を経て、2017年6月よりジェットエアウェイズCEO。

同社が運航停止になった翌月の2019年5月に退任、2020年2月にゴーエア(現ゴーファースト)のCEOに就くも経営上の対立から半年で退任した。

翌2021年、ジェットエアウェイズとゴーエアの同僚を引き連れて新航空会社を立ち上げる動きを見せ投資を募り始めた。

アメリカ仕込みの航空ビジネスの専門家って感じのキャリアを持つ人ってことだね。

最強過ぎる後見人と突然の別れ

デュベが新航空会社の設立に向けて投資家の説得に回り始めるんだけど、まさかというかすげービッグな投資家を味方につけることに成功してしまう。

それが、億万長者の投資家で知られ「インドのバフェット」ともいわれるラケシュ=ジュンジュンワラ氏。

モディ政権のスポンサーでもあり、金だけでなく政権へのパイプも手に入れたことになる。

ジュンジュンワラは7月に40%の株式に対して3,500万ドルを投資することを発表する。

その後は、何かにつけては「ジュンジュンワラ氏が出資する」がアカサの枕詞になって報道されるようになり、広告塔にもなった。

金、コネ、宣伝において活躍する最強の後見人ってことになったんだけど、その威光はいつまでもは続かなかった。

報道で知っている方も多いと思うんだけど、彼は一昨日この世を去った。

アカサの処女飛行を見届けて亡くなったというところかな。

病床にいたとかではなく、ホントに見届けたみたいだよ。

ジュンジュンワラという後ろ盾を失ったアカサについて早速不安視する声が上がっている。

いきなり暗雲立ち込める展開になってしまったんだな😭

アカサは果たして冥土のジュンジュンワラを喜ばせ続けられるんだろうか。

インド人はすぐに輪廻転生するから関係ない❓

おニューの翼がアカサを盛り上げる

2021年11月、アカサはドバイ航空ショーでボーイング737MAXを72機発注した。

737MAXにもヴァリエーションがあって、アカサは737MAX8と737MAX200を発注した。

737MAXはその名の通りボーイング737の進化形で、2017年より運航を開始した最新鋭。燃費がめちゃめちゃ良くて、アカサも環境に優しいことをアッピールしている。

737MAX8は737-800の後継機にあたり、単一クラスなら180席くらい。

737MAX200は737MAXシリーズの目玉商品で、その名の通り200席を置くことができる。1回のフライトでできるだけ稼ぎたいLCCにもってこいの機材ということになる。

ここまでならすごーくいい機材のように見えるけど、2018年にインドネシア🇮🇩のライオン=エア、2019年にエチオピア航空🇪🇹と立て続けに事故を起こしてしまい、日本を含む世界各国が飛行を禁止していた機材😱

当然ボーイングは改修を行い、今年に入ってようやくアメリカを筆頭に飛行が解禁され、これからその真価が発揮されようとしている。

ANAも導入を決めたし、これから一気に流行ると思う。

インドではアカサが初めてのMAX使いになるってわけ。

新エアラインの立ち上げってどーしてもイニシャルコストを気にしてしまう傾向があるけど、アカサは積極的な策に出た。

そういう経営方針なんだとも思うけど、やはりジュンジュンワラマネーが大きい。

あなたのアカサ💜🧡

機材を決めた翌月の12月にはキャッチフレーズ「It's Your Sky」を掲げ、ブランドアイデンティティとロゴを発表。

アカサはサンスクリット語で空を意味するアーカーシャから採られているため、それに連動したキャッチフレーズなんだと思う。

ちなみにこのアーカーシャ、本来は地・水・火・風の四元素を包括する虚空を意味するのだけど、転じて空や空気という意味になっている。

2000年代までにできたインドの航空会社って、エアインディアにはじまってインディゴとかジェットエアウェイズなどなど基本的に英語なんだけど、2010年代になるとサンスクリット語に由来するヴィスタラが出てきて、

日本でもヒカリエとかソラマチみたいなネーミングセンスが増えているように、インドの言葉がかっこいい、みたいな雰囲気があるんだろうね。

ロゴの「ライジングA」というシンボルは、 昇る太陽の暖かさ、鳥の楽な飛行、飛行機の翼の信頼性を含む空の要素からインスピレーションを得ているんだと。

ブランドカラーは「サンライズオレンジ」と「パッションパープル」で、航空会社の温かさ、若々しさ、自然への畏敬を反映したもの。

なんとなくインド国旗のオレンジよりノリがポップな感じがするよね。

意識高い系エアライン、いよいよ就航

6月21日、待ちに待ったボーイング737MAXのアカサ初号機がデリーに到着。シアトルから地球を半周する長い旅になった。

その時点では7月1週目には航空券を発売してすぐに運航を開始すると発表していたけど、AOC(航空事業者証明書)をまだ政府から取得できていない。

AOCが下り次第の運航開始となり、6月末までに取得するって言ってたんだけど、結局これが七夕になり、その時点で7月末就航と言ってたけど、結局8月7日になってしまった。

まあ、仕方ないけどね。

アカサのこれから

2022年末までに18機、5年後までに発注した72機すべてが揃う見込みで、当初は大都市からティア2、ティア3の都市を結ぶとしている。

ここでいう大都市(ティア1)はデリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、ベンガルール、プネー、ハイデラバード、アフマダーバードを指し、 ティア2は約90ある中都市、ティア3は小都市と考えていい。

って言ってたけど、結局ティア1同士を結んでないかい⁉️

ムンバイとアフマダーバードってのは、今新幹線造ってるところだぜ。

機材を増やしてからは大都市間の輸送にも参入するとしており、いや先にそっちやってるがな、2023年末には国際線にも参入するとしている。

国際線っていっても日本みたいに周り全部がガイジンの国、ではないからね。

中東というか湾岸諸国にはインド人がわんさかいて、ほとんど国内気分。タミル人に関しては東南アジアも同じように庭。

LCCのモデルで日本をはじめとしたガイジンの国にまで来るのかは何とも言えない。

意識高い系ビジネスモデルはそんなに上手くいくのか

アカサでは効率的で時間通りのオペレーションを実現するコスト構造、従業員中心の組織作り、共感できるサービス文化を3つの核としていて、競合他社に目を向けるより、自社でこの3つの核を突き詰めていく戦略を取る。

米国とインドの航空業界を知り尽くした航空のプロと有名投資家が組んだ意識高い系エアラインというところかな。

デュベ氏が非常に強気な態度を見せているのは、アメリカとインドでの豊富なエアライン経験、ジュンジュンワラ氏の出資による財務力、 インドにおいては現在約3億人といわれる富裕層(先進国並みの生活をしてる人、という意味でジュンジュンワラ氏みたいな人ではない)が10年後には約4.5億人に増えるとされる成長市場が挙げられる。

一方で、デュベ氏はインドにおいては経営に成功していないこと、LCCの経験はゴーエアでの半年のみで充分とはいえないことが懸念材料。

そして、ジュンジュンワラ氏が他界してしまったというのもね。

もう困った時に追加融資もできないし、政権にクチをきいてもらえないし、何よりもまだ「ジュンジュンワラ氏がバックにいる新航空」としか知られていないんだから。

目指すところは王者との真っ向勝負

インドの航空市場におけるシェアは昨年時点でインディゴ55%、スパイスジェット13.3%、エアインディア9%、ゴーエア7.5%、エアアジア=インディア6.8%、 ヴィスタラ6.3%となっており、インディゴが圧倒的。

デュベCEOの語るところから推測するに、アカサは低価格と良質なサーヴィスを両立するインディゴに真っ向から挑むつもりと思われる。

インディゴはLCCでありながら、フル=サーヴィス=キャリア(JALやANAのような様々なサーヴィスが価格に含まれている航空会社)を標的にして、国営で体たらくが続いていたエアインディアを超え、 当時エアインディアをサーヴィス面で圧倒していたジェットエアウェイズに勝るとも劣らないサーヴィスを圧倒的低価格で提供して経営破綻に追い込んだ。

インディゴ以外のLCCはサーヴィス面を優先せずさらなる低価格で訴求し、ヴィスタラは高価格高付加価値で独自の地位を確保している。

デュベ氏はまさにジェットエアウェイズのCEOとしてインディゴにこてんぱんにやられた経験を持ち、 その後移ったゴーエアでは恐らくインディゴに対抗すべく価格とサーヴィスの両立を図ろうとして、単に安売りで勝負したい出資者と対立したのだと考えられる。

アカサが価格とサーヴィスの両立で挑むなら、最強エアラインであるインディゴにはじめて真正面から戦おうとする航空会社が現れたのではないかな。

現在のインド航空市場はエアインディアを取り戻し、エアアジアを買い取ったタタ財閥がヴィスタラも含めたグループの総合力で再編を図り、インド航空業界の創業家の意地をかけて王者インディゴに挑もうとしている。

アカサはこの構図に埋没せず、インディゴとタタ財閥を脅かす存在になれるだろうか。

様々な期待と不安が入り混じるなか、アカサはいよいよ混沌の空に飛び立った。

おわりに

やっぱ航空の話は書いてて楽しいよね‼️

ってなわけで、来週月曜日22日の20:00〜、Clubhouse『インドの衝撃(インド大学)』で今度はインディゴの話をやることにしたよ💙

今度はアカサが敵サイドということになる。

というか、今までヴィスタラ、エアインディア、エアアジアと話してきてるんだけど、毎回インディゴの脅威って話になってるのよ。

それだけにどーゆー構成にしたら面白いのか、まだあんまり考えてないけど、やってやろうじゃないかってことで❣️

それじゃあバイバイナマステ💜🧡暑寒煮切でしたっ✨

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?