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ヴィハーン〜新生エアインディアの挑戦①ヴィスタラの躍動とその正体

はじめに

こんばんナマステ💜💛Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

今日から3日間にかけて、エアインディアを中心としたタタグループの航空会社の再編について書いていこうと思う。

現在タタグループにはエアインディア、エアインディアエクスプレス、ヴィスタラ、エアアジアインディアの4つの航空会社があるけれども、これがどのような経緯でそーなっていったのか、そして今後どーなっていくのか、ということを書いていく。

このへんは『インドの衝撃(インド大学)』のClubhouseの方でも度々話してきたテーマで、ポッドキャストも複数回にわたっている。

エアインディア①昨年時点(約39分)

エアインディア②先月時点(約35分)

ヴィスタラ(約19分)

エアアジアインディア(約20分)

エアアジアインディアについては喋ったものをテキスト化しているので、こちらも読んでほしい。

これから3日間でこれらの内容を再編して、タタグループのエアラインについてを取り上げていくよ❣️

初回はヴィスタラを中心に取り上げていきたい。

んじゃ、早速のテイクオフ🛫

わずか2ヶ月で消えた日印線第4の翼

一瞬だったし、海外渡航どころじゃなかったから日本人のほとんどが知らなかったとは思うんだけど、昨年の7月から9月にかけてのみヴィスタラが羽田空港に就航していた。

このことはこの先を考えると結構大きな意味を持つ。

ヴィスタラは2015年10月20日にJALと業務提携交渉を開始していて、2017年9月7日にはそれを締結。

2018年2月28日よりヴィスタラ運航のデリーから7都市を結ぶ便でJALとのコードシェアを開始した。要するにJAL便扱いとしてムンバイなどインドの諸都市まで航空券が発券でき、JALのマイルが貯まるってこと。

世の中がおかしくなり始めた頃の2020年2月28日、ヴィスタラは日本の国土交通省より外国人国際航空運送事業の経営許可を取得、JAL、シンガポール航空、シルクエア(シンガポール航空の子会社)運航便のコードシェアのみ、成田経由でLAまでの許可を申請した。日本経由でアメリカへ行くインド人がとても多く、日印線に乗っているインド人の半分くらいは日本を単なる経由地としてアメリカへ行く傾向がある。

そしてこの日よりヴィスタラのインド国内線のJALコードシェアを20路線に拡大、3月15日よりJALの日印線及び日本国内線羽田5路線、成田4路線に拡大。ヴィスタラ便扱いでJAL運航の日本国内線にも乗れるようになった。

今となっては遠い昔のことのように思える2020年の東京五輪開催に向け横田空域(米軍横田基地でコントロールしている空域で、これがある故に特に羽田空港の発着便には大きな足枷になっている)の利用規制を緩和することに日米両政府が合意したことから、2020年3月29日、羽田空港の国際線発着枠が年間約6万回から約9.9万回へ拡大、ロシア🇷🇺、イタリア🇮🇹、トルコ🇹🇷、フィンランド🇫🇮、スカンジナビア(スウェーデン🇸🇪、デンマーク🇩🇰、ノルウェー🇳🇴3ヶ国共同)と共にインド🇮🇳へ新規発着枠が配分された。

新規発着枠は日本側と相手国側で相互に割り振られる。日本側はJAL・ANAが成田ーデリー線を羽田発着に移管、これに伴いJALは成田ーベンガルール線を新設。

インド側はエアインディアが成田から動かず、ヴィスタラの羽田就航が噂されるもの既にコロナ禍に入っており先行き不透明という状況だった。直接エアインディアの営業の方にも確認したんだけどね、「うちは羽田に行きません」って言われた時は終わったな、と思った。

昨年5月10日にはヴィスタラが6月16日よりデリーから羽田へ週1便乗り入れることを表明。コロナ禍で多くの国際線を休止するなか前年8月のロンドン・ヒースロー線に次ぐ新規就航となる。そして当初の予定より3週間遅れの7月7日より運航を開始した。

運航スケジュールは以下の通り。

UK83便 水曜日3:00デリー発→14:50羽田着(所要8時間20分)

UK84便 木曜日17:50羽田発→23:35デリー着(所要9時間15分)

週一便なのはその当時の世相を考えれば仕方ないことだけれど、時間的には成田時代のANAのダイヤ設定に近い。成田を午前中に出るJALやエアインディアより遅く出て、遅く帰ってくる便で、日本側のビジネス客には嬉しいダイヤ。ANAは羽田に移った際、JALやエアインディアと似たようなダイヤになってしまった。

羽田、デリーとも明らかに折り返しを意識したダイヤで、コロナ禍が終わればデイリー運航になると思われた。羽田では既に木曜日以外の出発便「運休」表示があったのを直接確認もした。

また、日印とも羽田における早朝深夜枠を保有しており、ANAは繁忙期の臨時便のダイヤを発表していたがコロナ禍で運航実績はない。ヴィスタラも将来の運航を既に匂わせていた。デリーに朝着く便には期待が大きい。

また、デリーー羽田線就航につきヴィスタラとJALとの日印線コードシェアは解消の模様。乗り入れの際は相互コードシェアを匂わせていただけに、残念さは否めなかった。

そんな感じで鳴り物入りで始まったんだけど、新種の変異株が出るたびに蒸し返される状況のなかで結局9月末で運休になってしまった。皮肉なもので、その少し後くらいから特にインド側の状況が一気に改善して、既存3社は復活や増便を行うようになった。

ヴィスタラとはどんな航空会社か

ヴィスタラを運営するのはTata SIA Airlines Limitedという会社で、その社名からわかるようにインド最大の財閥であるタタグループが51%、シンガポール航空が49%を保有するジョイントヴェンチャー。ハブ空港はデリーのインディラガンディー国際空港で、ヘッドクォーターは空港のすぐ南にあるハリヤナ州グルガオン。

ヴィスタラの由来はサンスクリット語で「無限の広がり」を意味するヴィスターラから。前にアカサエアについて取り上げた時も書いたんだけど、近年インドでは固有名詞に英語ではなくサンスクリット語やヒンディー語を使う傾向がある。日本でもヒカリエ、ソラマチなど和風のネーミングが増えてるし、世界共通の傾向なのかもね。

航空会社にはIATA(国際航空運送協会)からアルファベット2文字の2レターコードというものが付けられるんだけども、ヴィスタラに割り当てられたのは先述のデリーー羽田線の時に便名に書いた「UK」。

エアインディアは「AI」、JALは「AI」など英語での社名に近いものが充てられることが多いけれど、ヴィスタラは後発なので全然スペルと関係ないものになった。

タタ財閥とシンガポール航空の蜜月は今に始まったことじゃなく、1990年代には既に合弁エアラインの設立を目指していたけれど、当時の外資規制により断念した。また、2000年代には両者でエアインディアの株を何割か保有して経営権を握ろうとしていたこともある。

2012年にインドの航空セクターへ向けて49%の外国直接投資を開放されたことを受けて、両者は再び合弁航空会社を設立することを決定、2013年にシンガポール航空が49%の株式を保有することが認められ、2014年に民間航空総局から航空事業者証明書を取得、2015年1月9日より運航を開始した。

そして2019年8月6日より初めての国際線であるデリーーシンガポール線、うんそりゃそーだよな、を就航、積極的に就航地を増やすもコロナ禍でその多くを休止中😭 ここはこれからに期待。

インドのエアラインの中では高い定時運航率を誇り、同じフルサーヴィスキャリア(LCC→ローコストキャリアの対義語で、JALやANAなど機内食や乗り継ぎなど様々なサーヴィスが付く航空会社)のライバルであるエアインディアやジェットエアウェイズにより高級路線で対抗。

エアインディアはエコノミークラスがヴェジタリアンに統一されているけれど、ヴィスタラはエコノミークラスでもノンヴェジタリアンの機内食が食べれる。また、インド映画一本槍のエアインディアと違い、ボリウッドもハリウッドも観られ、ゲームができるなど機内プログラムの選択肢は多彩。このあたりはシンガポール航空に合わせている。

シンガポール航空と同じスターアライアンスには入っておらず、スターアライアンスのユナイテッド航空やルフトハンザのみならずワンワールドのJALやブリティッシュエアウェイズとも提携している。エアインディアがスターアライアンスに入っているためと思われる。

マイレージプログラム「クラブヴィスタラ」はシンガポール航空、JAL、ユナイテッド航空、エアカナダと提携、逆にJALのマイレージをヴィスタラで貯めることも可能。また、シンガポール航空便として発券すればANAのマイルも貯められる。

50機台から2023年までに70機に増やす予定があるが、納入予定機に亀裂が入ったという報道もある。150機程度を持つエアインディアや300機程度を持つインディゴにはまだまだ及ばない。

インドの航空業界は過半数のシェアを持つインディゴの1強だけれど、ヴィスタラの人気も上がってきており今年シェアの1割を突破した。高級路線が支持を集めつつある。

挑戦者たちの前史

ここではかつて新興フルサーヴィスキャリアとしてエアインディアに挑んだ2社を紹介する。

キングフィッシャー航空はインドで最もシェアが高く日本でもバリバリ輸入されている同名のビールを製造するユナイテッドブルワリーズ社が2004年に創業、

ユナイテッドブルワリーズ社の本社があるベンガルールを拠点とし2005年に国内線就航、2007年に国際線進出、2008年3月には同じベンガルールを拠点にしていたエアデカンと合併してインド2位の航空会社になった。

高度なサーヴィスでいきなり英スカイトラックス社の格付けでファイviスターを獲得して話題を集め(その当時はまだJAL、ANAはファイヴスターではなかった)、2010年にはワンワールド入りを表明するも、経営不振で2012年運航停止。香港までは来ていたが、日本には就航していなかった。

ジェットエアウェイズは1992年に創業、1993年より国内線運航開始、2004年より国際線進出。ムンバイを拠点とし、インド国内で最大のシェアを誇っていた。

ANAとの提携を強め、日本語のウェブサイトも持ち羽田就航を匂わせてもいたが、2019年経営不振で運航停止。ANAにとってもインドへの足掛かりを失うことになった。なお、ジェットエアウェイズの機材の一部がヴィスタラで使われている。

なお、再開論は根強く、今年再開するという話もあったもののとりあえず難しそう。

ヴィスタラの正体

ヴィスタラはキングフィッシャー航空やジェットエアウェイズと同様、国営エアインディアを脅かすフルサーヴィスキャリアとして登場したけれど、ヴィスタラはその2者とまったく違うところがある。

それはこれまでの2者がエアインディアからシェアを奪い繁栄することを目的としていたのに対して、ヴィスタラはエアインディアを手に入れるための道具だということ。それはいったいどういうことなのか。

先ほど、タタ財閥とシンガポール航空は2000年頃にエアインディアの株式取得を画策していた、という話に触れた。

シンガポール航空がエアインディアを欲するのは、シンガポールには国内線市場というものが皆無で、巨大市場が欲しいから。

ではタタ財閥がなぜエアインディアを欲しがるのかといえば、それは長い長い因縁があるから。

それについては明日書いていくことにするね。

おわりに

タタ財閥がエアインディアを執拗に欲しがってきた理由は何なのか。

それに欲しがられるエアインディアは一体どんな航空会社なのか。

そんな話を明日は書いていく。

それじゃあバイバイナマステ💜💛暑寒煮切でしたっ✨

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