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バルカ共和国は何故うまれたのか

こんばんナマステ❤️💙💚💛Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

なかなか視聴する時間の取れなかったドラマ『VIVANT』なんだけど、

TVerで4話以降が見逃し配信を1週間しか行わないことがわかり土日で1〜4話を一気視聴、最新の5話も視聴した。

はっきり言って面白過ぎるけど、旅行屋としてはやっぱりバルカ共和国がどこにあるのかを追究したい。

位置でいうと、モンゴル最西部🇲🇳のバヤン=ウルギー県全域、それにウブス県とホブド県の一部、現ロシア領🇷🇺のアルタイ共和国の多分全域、それにほんの一部だけ同国領トゥヴァ共和国に跨っていて、

東でモンゴル、北にロシア、西にカザフスタン🇰🇿、南に中国🇨🇳と接している。中国は新疆ウイグル自治区ね。

首都のクーダンはウブス湖🇲🇳の西、ティレツコイェ湖🇷🇺の南へ向けた線が交わるところで、アルタイ共和国🇷🇺のウラガン、サラタンといったところに近い。

重要になってくるのは全域が含まれるバヤン=ウルギー県🇲🇳とアルタイ共和国🇷🇺。

公用語はモンゴル語で、モンゴル人が統治する国の様子。

『VIVANT』の世界にはモンゴルとバルカというモンゴル人の独立国家が2つ併存していることになる。

そしてモンゴルとバルカは過去に紛争を起こしていて緊張関係にある様子。

インド🇮🇳とパキスタン🇵🇰の関係を見てきている自分にはこの関係性はすごくよく伝わってくる。

ではバルカは一体どうやって生まれたのだろう。

4話目まで視聴した時点では、旧ソ連のなかの共和国のひとつと考えていた。

史実のモンゴルは「16番目の共和国」と呼ばれるソ連の傀儡国家で実際併合案もあったようだけど、バルカは16番目の共和国だったのだと考えた。

だけど、5話目にして1980年代前半の内乱が語られたことから、ソ連の内部ではないことがわかった。

この時点で内乱起きてたら、もっと早くソ連崩壊してるってば。

ただ、建物の様式やキリル文字などからしてモンゴル同様、ソ連の影響下にあったことは明らか。

ここでモンゴル人の歴史についてさらーっとだけ書いてみたい。

彼らの起源はシベリアのバイカル湖🇷🇺周辺にあり、モンゴル高原に南下してくる。

モンゴル高原には達せずシベリアに残った人達をブリヤート人といい、そのなかにバルガ族という部族があったので、これがバルカのネーミングに繋がった可能性がある。

モンゴル高原は今のモンゴルと内モンゴル自治区🇨🇳を合わせた区域で、北のサヤン山脈、東の大興安嶺、南の陰山山脈、西のアルタイ山脈に囲まれている。

そして陰山山脈を越えて中国ともしばしば交易や衝突を繰り返し、モンゴルから見て東のツングース、西のトゥルクと並んで、中華目線では北狄と呼ばれた。

彼らのなかからチンギス=ハーンという天才が現れ、東アジアから中央ヨーロッパに跨る世界史上最大の帝国を創り上げたのは誰もが知ることだけど、

栄華は永遠には続かず、漢民族による明朝がモンゴル民族の元朝を滅ぼすと、モンゴル人はゴビ砂漠を挟んでモンゴル高原の北に住むハルハ、南に住むチャハル、モンゴル高原の西からトゥルキスタン、チベット方面に進んでいくオイラトという部族に分かれた。

オイラトは元々のモンゴル系ではなく、トゥルク系がモンゴル化したといわれ、チベットにグシ=ハン王朝、ウイグルにジュンガル帝国を建てる。

一方でツングース系の女真族による清は内蒙古と呼んだチャハルと組んで明を倒し、そしてチャハル、のちに外蒙古と呼んだハルハを併合、さらにグシ=ハン王朝やジュンガル帝国をも倒し、本拠地の満洲、中国、モンゴル、チベット、ウイグルを統べるようになる。

辛亥革命で清を倒した中華民国は上記地域を受け継ぐけど、外蒙古ことハルハについてはロシアの干渉で中華民国に加わらず独立することになった。

バルカは位置的にオイラトによる国家ではないかとも思ったけど、元来トゥルク系なので『VIVANT』の主要人物であるチンギスやドラムやジャミーンとは少し顔立ちが異なるし、モンゴル国軍と齟齬なく会話していることからしてハルハによる国家だろう。

バルカ建国に至った架空の部族がもうひとつあったという設定も考えたけど、ハルハとした方がしっくりくる。

では、バルカはいつ、なぜ興ったのか。

自分のなかでの仮説では1920年代の建国ではないかと。

モンゴル高原からアルタイ山脈を越えた先、シベリアの南にはトゥルク系のアルタイ人が住んでいる。

ロシア〜ソ連は彼らをオイラトと混同してそー呼んでたこともあるけど、別物。

アルタイ人はロシアとの交流が深く、ロシア正教に改宗した人も多いけど、ロシア人の入植が強まるにつれて反感を持ち始め、ロシア革命前後の混乱に乗じて抵抗運動を起こす。

史実ではソ連が抑え込み、彼らのための自治州を設けてお茶を濁すけれど、そりゃ紅茶にジャム融かす人達だし😅

例えば同時期に建国間もないモンゴルで権力闘争が起き、その片割れとソ連が繋がり、アルタイ人居住地域の統治者に指名したのではないか。

この流れならハルハがアルタイ山脈の西を統治していること、モンゴルとは別の政権である謎が氷解する。

ロシア人の入植者の大半を引き上げさせ、代わりにハルハの多くを入植させた。

ソ連としては中国との緩衝地域としてモンゴル人の独立国を欲したものの、さらにモンゴルとバルカに分断させることで影響力を強めた、というシナリオ。

なお、史実のモンゴル最西部バヤン=ウルギー県はカザフ人のムスリムが住んでおり、バルカの西部がイスラーム地域であるという描写はこれのパロディ。

恐らくバヤン=ウルギーで撮影してると思うけど、とりあえず『VIVANT』ではハルハ族に押し出されるかたちで彼らが西に動かされていることになる。

ここで阿部寛演じる野崎は「宗教の多様なバルカでイスラームは少数派」と言った。

現在のモンゴルはハルハ以外のオイラトなども含めて大半がチベット仏教で、2〜3%程度のカザフ人しか信仰していないイスラームが2番目に多い宗教だから全然多様じゃない。

一方でアルタイ共和国はロシア人6割、アルタイ人3割でカザフ人が6%ほど。

バルカではロシア人の代わりにハルハ6割、アルタイ3割、カザフ6%とすると、

ハルハはチベット仏教、アルタイ人はロシア正教ないしブルハニズム(アルタイ人の土着宗教だけどロシアへの抵抗運動の過程で前衛化)、カザフ人がイスラームということになり、確かに宗教は多様。

ということで『VIVANT』には映らないけど、アルタイ人がモンゴル人の半分くらいは住んでいるというのが自分のなかでの推察。

4色に彩られたバルカの国旗は、4つの民族を表しているんじゃないかな。モンゴル(ハルハ)、アルタイ、カザフ、あとひとつはオイラト、トゥヴァ、スラヴのどれか❓

国旗に描かれる太陽の下に月がある紋章はモンゴルの国旗にあるソヨンボ文字のパロディだと思う。

モンゴルの昔からの伝承に基づくものなので、月が下にあるからといってイスラームを虐げるような意味ではないそう。

かつてモンゴルとバルカが争ったというのは、同族嫌悪もあるけど、地下資源か水資源か何かだろうね。

史実のモンゴルは露中以外の隣国がないため、露中両国のどちらにも肩入れせず、「第三の隣国」を掲げて親交を深める外交方針を取っており、親日的な姿勢はそーゆーことなんだけど、

この世界のモンゴルは隣に敵国があるため、このような方針を取れず外交に難儀していることだろう。

それにしてもバルカの設定は相当練られているし、モンゴル側の意見も入ったうえで出来上がった架空の国だといえるよね。

この先でまたバルカの秘密が語られてこの考察が見当違いになるかもしれないけど、ひとまずこのへんで。

ちなみにバルカ共和国の描写以外では別班黒須役の松坂桃李に注目している。

オールスター体制によるドラマ制作の噂を聞きつけ、自ら志願したというだけあり、単なるイケメン俳優の殻を破りたいという気持ちがひしひしと伝わってくるよね。

34歳で、5月に第一子も生まれたばかり。ここが勝負どころってとこかな。

それじゃあバイバイナマステ❤️💙💚💛暑寒煮切でしたっ✨



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