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言葉と語感とラーメンズ#4 第6回公演『FLAT』後半

『FLAT』のコント全10作品のうち、後半5作品の話です。


6.新橋駅をご利用のみなさん

 だったら騙し通してよ~!

「言葉巧みに騙す」というとあくどさを感じますが、
相手を慰めるために「騙されたふりをする」という優しい「騙す」も存在します。
「騙され通してよ~」ではなく「騙し通してよ~」というあたりに、
立場の逆転を知った残念感が表れていると思います。


7.お引越し

ちょっとはクスリが効いたかな…

ラーメンズ作品にちょこちょこ出てくるブラックなワード。
クスリ、白い粉、小麦粉か何か…。
オブラートに包んでいるようで、実はストレート。威力のある言葉です。
このあとの「ゆるぎねぇ!」もこの作品で好きな言葉です。


8.棒

お前よく見るとむかつく顔してんなぁ

一見、強いものが弱いものを助けているように見えて、実はそうではない。
この世の強者と弱者の縮図、心変わりをする人間心理を皮肉っているように思える作品。


9.透明人間

 どうしたもんかねぇ、母さん。

状況の把握において、言葉一つでハッとさせられる作品。
最終的に母さんが透明人間になっているのか、分かりません。
透明人間の話が出ると、「悪魔の証明」が浮かびますね。
このあたりは『TEXT』でまた出てきます。


10.プーチンとマーチン

 殴っていいのが男!嬲っていいのが女! か~わいい~♪

「嬲る」。
漢字からしても、女が男に挟まれています。
視覚でも音でも語感的に危険性を感じる言葉ですね。
2体のパペットのリズミカルな会話、「殴る」「嬲る」の韻の踏みが良いです。
※ただし暴力はいけません。
そしてロシア民謡「カチューシャ」のメロディーを使った替え歌、言葉遊び。
言葉遊びは少し悲しめのメロディーと相性が良いのですかね。
「し~ん~せ~きの芸能人が お~まえ~の切り札か~」が個人的にツボです。


●全体を通して

対話のやり取り、リズムが面白いと感じた公演でした。
「ドーデスという男」や「プーチンとマーチン」は対話のリズムがいい。
「アレグレット」のように発話が出てこない作品もありました。
しかし言葉のやりとりは声だけではなく、身振り手振りでも出来る。
言葉(声)に頼らない面白さの表現は、難しけれど興味深いものです。


次回は第7回公演『news』です。

ではまた。

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