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言葉と語感とラーメンズ#3 第6回公演『FLAT』前半

『FLAT』はコント作品が全10本と多いので、前半5本、後半5本に分けます。

1.初男

「どうも。初男(はつおとこ)です。」
「……もうそんな季節かぁ。」

ある季節にのみ現れ、季節を特徴づける現象を「季節現象」と言います。
例えば、冬の初雪、初霜、初氷。
意外にも初○○というのは、他の季節現象には出てこない言葉です。
作中ではお餅が出てくることから、「初男」は冬の季節現象と推測されます。
ちなみに、その冬の最後の降雪のこと「終雪(しゅうせつ)」と言います。
「終男」と書くと、「終わった男」のような感じがして寂しいですね。
初男というワードから、季節の変わり目と日本の風土・文化を感じさせる作品です。


2.埋蔵金

だって、徳川なら聞いたことあるけど…

「埋蔵金」という言葉の響き。どこか古臭い浪漫の香りを感じます。
「蔵」の漢字には「かくす」の意味もあり、人はどうやら隠されると探して見つけたくなる性があるようです。
昔は結構「徳川埋蔵金を発見か!?」という内容のテレビを目にしましたが、そういえば最近あまり見ませんね。
これから電子マネー化が進んだら、埋蔵金という言葉も時代と共に埋蔵されるような気がします。


3.海豹

 …あざらしー。

「アザラシ」という動物名称たった一言が、状況の転換と笑いを生み出す威力を発揮する。
正直この作品は題名を知らずに見た方が、一言の力を感じられると思います。
海豹と戯れる賢太郎さんのマイムの上手さも見物。


4.アレグレット

ジェスチャーだけで2人がやり取りする作品。
発話としての言葉はありませんが、身振りという言葉で会話し、
状況を観客に理解させる2人の演技力の高さがよく分かります。
アレグレットは、音楽用語で「やや速く」。
作品のバックで鳴るメトロノームのBPMは、計ってみたら109でした。
対決(?)をする2人の緊張感を演出しているように思います。


5.ドーデスという男

どーです?

登場人物の片方は、基本的に「どうです?」という言葉しか発しません。
それなのに会話が成り立っている。
「どうです?」の一言で、感想、具合、方法を訊ねているのも面白い。
会話のキャッチボールは、投げ方も大事ですね。
だんだんドーデスがかわいく見えてきます。


次回は後半5本をお届けします。


ではまた。

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