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言葉と語感とラーメンズ#21 第15回公演『ALICE』前半

不思議の国の…?

『ALICE』全7作品中、前半4作品のお話。

1.モーフィング

釈然としたいか。釈然としたいか…(徐々に言葉が変わっていく。舞台の立ち位置移動)…弱点都市大会。
“弱点都市大会”、それは全国47都道府県が、お国の弱点をさらけ出すことにより争われる、いわば自虐全国大会である。

似たような言葉の「のりしろ」で繋げられた、コント集。
各コントの最後のセリフと、次のコントの最初のセリフが似た言葉で繋がっています。
複数のコントを行き来するのも見どころ。
個人的には「宝田歯科医院だよ」→「だから確かいいんだよ」のくだりが好みです。
同音異義語や韻の踏みをここまで上手く使いこなせたら、絶対楽しいでしょう。


2.後藤を待ちながら

長谷川(片桐)「何それ~…どんどんじゃん…。」

矢印良品で働く長谷川(片桐)と岡田(小林)。
付き合いの悪い同僚の後藤と飲んだことがあるという岡田に対して、長谷川が言った言葉。
この場面、果たして長谷川はどんな意味で「どんどん」を使ったのでしょうか?

どん-どん(副詞)
1 物を続けざまに強く打ったり大きく鳴らしたりする音を表す語。
2 物事が勢いよく進行するさま。また、物事をためらわないでするさま。
(weblio辞書より)

付き合いの悪い相手にも積極的、ためらいがないという点で考えれば、2の意味で使ったのか?と思いますが、いまいちしっくりこない。
長谷川の言い方や気持ちを考えると、本来の意味は抜きにして、「(密かに)仲が良い」「仲睦まじい」というようなニュアンスを感じます。
現実で通じるかはさておき、どんどんどんどんを使ってみましょう。
分かる人がいたら、その人はきっとラーメンズ好きです。
オチがゾクっとする、割とホラーな作品。


3.風と桶に関する幾つかの考察

桶屋がボーカル。

「風が吹けば桶屋が儲かる」とは、意外なところに影響が出ること、またあてにならない期待をすることのたとえ。
この言葉の元となったプロセスは、以下の通り。

「風が吹く→土ぼこりがたって目に入る→盲人が増える→盲人は三味線で生計を立てようとする→三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える→猫が減るとねずみが増える→ねずみが桶をかじる→桶屋がもうかる」

一連のプロセスに面白さがあるので、一言よりも全体を見て頂きたい作品。
「風が吹く」の状態を「韓流ブームの風が吹く」にしてスタートさせる考察もあり、言葉の使い方がおしゃれです。
バンド編は、もはやプロセスではありません。


4.バニー部

バニー部は部活ではない。財団だ!

もう「バニー部」って言葉がオモシロイ。そして「財団(ザイダン)」という語感の強さ。
財団とは、ある目的のために結合されている財産の集合体のこと。
財団法人とは、一定の目的のために提供された財産を運用するため、その財産を基礎として設立される法人のこと。
仮に財団法人であるとするならば、バニー部の目的は果たしてなんでしょう?
どうやら愛・地球博を応援しているらしいです。
そして戯曲集の方には“美しさと健康を考えるバニー部です”というキャッチコピーのようなセリフが書かれています。
冒頭、レディオ体操第一の美しく優雅な動きからしても、健康・美容の発展を目的とした財団なのかもしれません。



後半へ続く。

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