⑮札幌のお笑い市場の現状と課題【第8章 おわりに】

第8章   おわりに

 本稿ではアンケートやインタビュー、他県との比較分析などを通して北海道、中でも札幌市にて営まれている「お笑い市場」に着目し、そこにおける現状と課題を明らかにすることで今後の発展可能性について考えてきた。上記したとおり、札幌という地での「お笑い文化」は長い歴史を持つ一方で、その実情はあまり知られておらず数多くの課題を抱えていることがわかった。
 ここまで、アンケートやインタビューを参考にしつつ札幌のお笑い界が発展していくための案をいくつか述べてきたが、これはあくまでも机上の空論に過ぎない。何を実行に移していくか、そして当事者である芸人がどのように動いていくかは今後の大きな課題となる。
 また、どの程度「お笑い」というものに向き合って踏み込んだ活動をしていくかは活動者それぞれの考え方によって異なるであろう。今回インタビューが実現し、その内情を尋ねることができたのは3名である。つまり、それ以外の活動者がどのように考えているのかは不明瞭であり、“自身が活動している環境をどこまで変えたいと思っているか”は不明なのである。
しかし、上記で「お笑い環境の改善方法」と「芸人の活動方法」について述べていったが、特に後者については札幌などの地方地域に限らず東京や大阪などのいわゆる“エンタメ首都圏”で活動している者にとっても関係してくるような内容ではないだろうか。
 北海道や札幌は現状としてエンタメという産業に対しては不向きではあるかもしれない。しかし、農業、漁業、観光業など多様な資源を持ち、魅力にあふれている地域であることは間違いない。ことエンタメに関しては「文化が根付きづらい」などの壁は多く存在しているものの、もともと持っている資源を上手く活用することによってそれらを乗り越えていける可能性はあるだろう。
 札幌が近い将来に東京や大阪、ならびに福岡などに引けを取らないお笑い文化の根付いた地域に進化を遂げていることを祈るとともに今後も札幌お笑い界の成長と躍進を見届けていきたい。また、今後はこれらの案を検証していくことが必要となるが、それは今後の課題としたい。

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