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短歌連作20首「潜在」


殺人の道具に一度はなりたいしめちゃめちゃ非道いことも言いたい


今日は何かできる日だ 労働署のあと皮フ科に行った


みなさんをめちゃめちゃに傷つけたくて思ってもないことを言ってる


選ぶなら僕はスパナにするみんな銃やナイフを持って行くなか


一日に一万歩あるいた週の体重そんなに変わらんらしい


そんなのを書きたいわけじゃない人の、そんなのを書いているだけの人


缶ジュースを二本もらってきてしまい一体何だこの人生は


作品のために我慢をする立ち場やっと私もそれになれたよ


でもそれは頑張ったからではないか聖者ではない人の文芸


「先生、ぼくはもうすぐ死ぬんだね」「そうなのよもう、すぐよほんとに」


嫌われをヴィランと呼ぶのをやめようよ許さないよその自己肯定は


生活の破綻する金を払うほど愛するものが日替わりの人


酷使してねえ筋肉が痛み出すその呪われた理由に迫る


似合ってるだけど言わないこれでまた一こ潰せる幸せがある


いつかはこいつを使うことになる三千三百円の花束


潜在する獣を馴らすと俗に言うやりたいことをやらないことを


非常用持ち出し袋を持っている ちょっとは見直したかおれのこと


向けられた悪意と向けた悪意との差額がそのまま財産になる


そんなのさ家を特定して爆弾しかけてくればいい話じゃん


終わりって永劫なんですねえ そこで泣き喚いてる首だけの人




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