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私の人生は私のものになっていますか?

農家になった、なぜ?、のつづきです。
そうなんです、農業は職業の選択肢にもなかったわけなんですが、そもそも都心で育って、農業って職業もいいかもなーなんて、就活の時に考える人っているのかな?東京農大とか農学部に通ってる学生さんとか?1%ぐらいはいるのかも。東京都の食料自給率1%(カロリーベース・H28年度)と同じぐらいの確率では出会えるのかもしれない。神奈川県でも2%だからね。

で、私は東京でSEになったわけですが。
東京生活は新しいもの、たくさんの人に触れる機会も多くて刺激的。安定した企業で朝から晩まで働いて、経済的には豊かで、食べたいものを食べ、買いたいものを自由に買い、行きたい場所に行く。親にも友人にもすごいねーと言われるような生活。

そして、時代は女性活躍推進。
女性だからという理由で選ばれることもあったと思う。大きな仕事も高い下駄をはきながらもやらせてもらう。常に気を張っていて、何かに追われている感覚がなくなることはなかった。それでも仕事は楽しかったし、会社の期待にも応えたいと思っていたし、定年まで働こうとも思っていたんだけど。

人の考え方って、変わっていくものだったんですね。

まぁ、変わってしまった。のか、今まで蓋をしてすごしてきたのか。よくわからないけど、出会い、経験、年齢、仕事のポジション、3.11いろんなことが重なり、私の人生は私のものになっていますかー?って思ったんです。

そのころ、高齢になった祖父母の果樹園(母の実家・山梨県南アルプス市)を農繁期だけ手伝っていました。

夜明け前に起き、朝焼けが広がるのを見ながら畑に。
富士山、南アルプス、八ヶ岳、すべての山に包み込まれるような感覚。
美味しそうに育った果物を大切にもぎ取って。
陽の光が強くなる前に持ち帰って、
朝ドラを見ながら朝ごはんを食べて休憩。
祖父母と何でもない話しをしながら、出荷のための選別をする。
軽トラで一緒に出荷場に、帰り道は畑の見回りに。
気づけばお昼になっていて、お昼ご飯を一緒に食べて、ひと眠りする。
気持ちの良い風が吹く中、黙々と農作業に向かう。
夕焼け空に、山々の稜線の美しさに圧倒されながら、
少しの疲労感と充実感を感じながら一日が終わる。

時の流れ方が、都会の生活とはあまりにも違う。 

今思い返すと、少し張り詰めすぎていたのかもしれない。仕事ができる自分でいたい。いなくてはいけない。評価されるために仕事をしている感覚もあった。企業で働いていれば必ずつきまとう人事評価。誰かに評価されるのも誰かを評価するのも苦痛だった。

農業を始めてみて、私たちを評価するのは農作物。
すごくシンプルになった。

さて、今日はここまで。
すこしずつ、農家になった、なぜ?が自分でもわかってきた気がする。それでも、SEの仕事は楽しかったし、農業にめっちゃ活きていると思っています。また今度noteで。

では、みなさん、次回までお元気で。
ごきげんよう、さようなら。

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