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おいしいコーヒーが飲みたいワニ

ワニさんは、とにかくおいしいコーヒーが飲み続けたくて焙煎をしているのだが、おいしいコーヒーを飲むための条件はいくつかある。

丁寧にしつらえ(そうじ)られた生豆をちゃんと調理されたものを新鮮なうちに飲む分だけその都度挽いて丁寧にリズム良く淹れることも大切。よってわが家では、日々焙煎したてのコーヒー豆が飲む分だけストックされており、朝昼晩とそれとともに必要な回数淹れ続けているのだが、金沢のワニさんの実家に帰った時だけ私でなく義母さんが淹れる。

義母さんが淹れるコーヒーは独特の変わった味がする。

コーヒーは淹れる人により同じ豆を使っていても味が異なる飲み物である。が、義母さんの味は何を淹れても義母さんの味がして少々飲みづらいところがあるので、とうとう実家でも私が淹れる役になった。義母さんは焙煎家の母だが、コーヒー豆は先に粉にして保存する。飲む分だけ粉にするというより粉にできるだけフードプロセッサーの大きさ分作っとくという感じ。また濃いコーヒーが大好きなワニさんに対してとても薄いコーヒーが好きで粉を少量しか使わない。また飲みたい分量になったらドリッパーを外すが持論のワニさんに対してもったいないから最後まで落とし切るがきまりである。

1度どんなふうに淹れているか興味がありドリップしているところを見せてもらったのだが、なるほどだからあんな変わった味がするんだという所作にこだわりの焙煎家とこだわらない焙煎家の母のギャップが面白かった。が、面白がれるのもそこまでで実家で義母さんの代わりに緊張の台所で義母さんに毎回見つめれれながらコーヒーを淹れるのは嫁ならだれでも緊張する。

薄いのが好きな人の前で山盛りのコーヒーの粉を使うならことさらである。

自分の実家なのだから自分で淹れてきなさいよ!とワニ休みを満喫するワニさんにいうと次は僕が、明日の夜は僕がと口ではいうが実際その時間になるとお願いしますと言った感じである。

おいしいコーヒーを飲むための条件に誰かに淹れてもらうも条件に入るのである。自分で作る料理はおいしいが誰かが自分のために作ってくれた料理がおいしいのと同じで誰かが淹れてくれる手作りの味わいは格別なのである。

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