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文章の「癖」の話

こんにちは。
今日は、私の好きな文章のタイプ、つまり「癖」の話をしたいと思います。

誰しも、好きなキャラや料理などなど、何かに対して「私ってこういうのに弱いんだよね」ってポイントがあるかと思います。
それの文章版の話です。

こういう話、誰にもしたことがないのですが読書好きの方には共感していただけるかな‥?
ちょっとドキドキしながら書いてみます。


私には書きたい文章がある

私が書きたいと思っていること。
それは、「美しい風景の描写」です。

「ああ、ここ綺麗だなあ」って思った景色を、読んだ人にも「めっちゃええ景色なんやろなー」と思ってもらえるような文章を書いてみたい。

スマホで写真を撮るといつも思うのが、「肉眼で見るともっと綺麗なのに」ということ。
じゃあ一眼で撮ればいいじゃん、というのも違う。
写実的な文章が書きたいわけではないんです。
私が「主観的に見たもの」を描いてみたい。
でも色とか、光の煌めきとか、なんか文章が浮かんでこない・・・

例えば、一年ぶりの帰省のとき、電車から見えた風景。
何度も見てきた風景でも、これまでと違って見えたりする。
前にはなかったお店やマンション、今住んでいる都会では見られない田んぼが車窓から見えたり。
一言で表すと「エモい」なんでしょうけど、人の思い出や気持ちによって、どうってことない景色も見え方が違いますよね。
小説の情景描写では、よく登場人物の心理が反映されているかと思います。

まとめると、

私のレンズを通して見えた景色を、読んだ人にも共有する。
それも、日本語だからできる表現で。

そういう文章を書きたい!と思っています。


ある本との出会いー「秘密の花園」

なぜ「美しい風景を文章で書きたい!」と思うようになったのか。
それは、そういう文章が私の「癖」だからに他ならないのですが、そのきっかけとなった小説があります。


当時大学生、TOEICのために英語漬けの日々を送っていた中での出会いでした。

知っている方も多いかと思います。気難しい少女が、「秘密の花園」で過ごすうちにみるみる変わっていくお話です。
その「花園」の描写が、ほんとーーーーうに美しかったんです。
季節の変化も描かれているのですが、春に向けてだんだんと緑が増え、光が降り注いでいく様に比例して、主人公も変わっていきます。
文章を読んでいるだけで、写真を見たり映画を見たりしたわけでもない。
似たような庭園で過ごした経験もない。イギリスにも行ったことがない。
それなのに、自分の頭の中に「陽の光が降り注ぐ美しい花園」が思い浮かぶんです。
草木や土の感触、そして自然の匂いまでもを感じて、感動しました。
しかも、主人公が9歳なので、小学校低学年ぐらいの語彙で描かれているのです。

この本と出会って10年近く経った今も、「自分なりに自然の美しさを文章にしてみたい」とぼんやり思い続けています。

ちなみにこの英語学習期に洋書(といっても児童書のみ笑)を読み漁った経験から、「その言語だからこその味わい」にも癖があります・・・笑

ハリポタなんかは、その最たるもの。
私の中では、イギリス英語でこそ味わいたい作品です。
(「もちのロンさ!」などおもしろい翻訳も大好きですが)
洋書が豊富にあるブックオフを見つけて、コツコツ買っていたのが懐かしいです。

こちら、けっこう長い間kindle unlimitedの対象となっています。
挿絵が素敵なので、ぜひ!猫ちゃんが動きます。
ハリポタは、アメリカ英語版で微妙に単語を変更しているそうです。
こちらが原文でないバージョンでしたらすみません。

「その言語だからこその味わい」に沼ったばかりに、それ以降、「ハマった海外文学は原書でも読みたい病」にかかってしまいました。
今年中に制覇したいジェイン・オースティン作品も、いつかは・・・と思っています。

逆にいうと、「日本語だからこその味わい」に、このとき目覚めたのでした。


日本語って素敵だ!出会った作品たち

「美しい情景描写」「日本語だからこその味わい」が癖となった私ですが、それをさらに加速させてくれたツイートがあります。

もとのツイートを探したのですが、もう見つかりませんでした。
何年も前、猫のセリフとして描かれていた言葉です。
それがずっと忘れられず、頭の中にあります。

 この世から「しんしん」という言葉が消えたなら、もう二度と雪が「しんしんと降る」ことはないだろう。

あるツイートから

「しんしん」って、外国語でもそれっぽく訳せると思います。
でも、「しんしん」から想像する風景、その「エモさ」は同じ土地で暮らしてきた人たち同士でしか共有できない何かがありますよね。
その「エモさ」を私も表現したいのですが、まだまだ言語化できそうにありません。

「秘密の花園」以降に出会った、自然の描写が美しい作品たちを紹介します。



①日日是好日

有名な作品ですね。
四季折々の日本の美しさを感じられます。
茶道を通して著者が感じられたことが綴られている作品ですが、何か特別なことをしなくても、日常が美しいもので溢れていることに気付かされます。

折に触れて手に取る作品です。

②星やどりの声

朝井リョウさんの中では、かなり毒気がなく読みやすい作品だと思います。
失ったものを乗り越えていく登場人物たちの気持ちが反映されたような、星の描写がとても美しいです。
それが切なくもあるのですが、舞台となった街の自然が、そこに住む人々を優しく包み込んでいる感じがして、大好きな作品の一つです。

③わたしの美しい庭

タイトルの通り、庭の描写が美しい!
いろんな事情を抱えた登場人物たちを祝福するような、陽の光が降り注ぐ庭の様子がとても素敵な作品でした。
でも、「自然が自分たちを祝福してくれてる」みたいな感覚って結局は見る人間の心の持ちようですよね。
もしかしたら大人の目線から見ると美しいばかりじゃないかもしれない。
けれど、主人公の少女の目から見ると、そこは大切な人たちを結びつけてくれる美しい場所に他ならない。
いつかその場所を離れる日が来ても、成長して庭の存在を思い出さない日が増えても、かけがえのない場所があった事実が、これからも彼女を支え続けるんだろうな、と思わせてくれます。
「秘密の花園」のメアリーにとっての花園と、同じような立ち位置なのかなと思いました。


まとめ

いくつか紹介しましたが、私の中で「キングオブ自然描写」な作品があります。
それがこちら。

私は、古典の専門家でもなんでもありません。
専門的なことは一切わかりませんが、「冬はつとめて」、その一言にしびれます。

冬の早朝に感じる、この「肌に刺さるように冷たい、でも澄んだ朝の空気」を表現できるようになりたいなあと思います。

これからもいろんな作品に触れつつ、自分の表現にも挑戦していきたいです。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

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