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あたし #05

「きょうこ出かけるよ」
母の言葉。
映画に行くと言っている。
あぁまた彼氏との仲介人ですか。

そう思いながらもいつも明るく努めた。

違った。

母と二人でちびまる子ちゃんの映画だった。
母は映画中ずっと寝てたけど、めちゃくちゃ嬉しかった。あの時に買って貰った映画の漫画の本をずっと大切に何度も読み返した。

他にも、一度だけ手をつないで道を渡って貰ったことを鮮明に覚えてる。

小学校はそれなりに楽しかったのに、楽しかった思い出よりも、辛かったことが前に踊り出てくる。

愛に飢えていたのだと思う。
母に認められたい、笑ってて欲しい。
あたしを邪魔者にしないで。

小学校高学年の頃には、今のお父さんと付き合っていた。
そんなことを知っているからなのか、
担任の先生が、こっそりあたしを呼び出して

「大丈夫か?何かあればすぐにいいなさい。」

泣きそうになった。いや泣いたかな。もう曖昧だけど、言葉が出なかった。

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