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勉強しない子への、「勉強する理由」の教え方

私は脳科学を研究しています。そのついでに、心理学のパーソナリティ理論も勉強します。
「なぜ勉強するの?」はいくつも答えがあり、前にコンテンツも書きました。しかし、今回は、それよりもうちょっと深堀した内容を科学的にお届けします。
(少し追記しました。2022/8/30)



その中で、ビッグファイブという理論があるのですが、そこの1つの特徴に「知的好奇心」というのがあります。
賢い子供は、だいたいこの知的好奇心が高いです。以前に、「外国人エリートのほうが、日本をよく知っている」というコンテンツを書きましたが、外国だと、もろに一流大学の学生、ハーバード大学やオックスフォード大学などの学生、他には大学がちょっと低くても、大金持ちの多くは、知的好奇心が高く、「外国は行きたいな。アジアの中なら、日本が一番いいかな」というと思います(中国は人権無視国家だとだいたい知っています。知らない人もいますが、痛い目にあってないからだと思います)。

国でいうと、文化レベルが世界最高クラスのフランス人は、かなり親日派ですし、知日派です。好き嫌いに関係なく、「日本、たしかに一度は行ってみたい!」と思う人が多いです。


実は、1人の人間が「知的な興味をもてるかどうか」は、もうDNAで決まっています。
親御さんで、「ああー、うちの子供は勉強しない。どの科目も勉強しないわー」と思っていたら、両親のうち、どちらかが知的好奇心が低く、その遺伝です。
ただ、普通の子供は、国語算数理科社会英語美術体育音楽とまあ、科目があれば、1つはどれか得意で、興味がある科目はあるはずです。
それに、知的興味は、うまく育てることもできます。
「何か、お友達で面白いことはー?」とか、関心がありそうなことをつつけばいいのです。
人間の脳は、もともとアフリカのサバンナでだんだん人間になってきました。そのときに、「わー、虎が襲ってくるー」というときに「匂いが違うぞ」とか「あの虎はあっちの山に住んでる」とか、いろんな五感を動員して、知的になった人間だけが生き残ってきました。
「へー。そうかなー」といって、ぼーっと草原で寝ているような原始人は、原始人のまま、死んでしまったのです。子孫はいません。
私たちは「あれー?おかしいぞ」とか「あっちの山のほうがおいしい食べ物がありそう」といおう興味がある先祖がいたから、生き延びてきました。
だから、普通なら、なんらかのジャンルで知的好奇心があって当然なのです。たまたま、今、みつからないだけです。

あとは、家の中に、十分な本やおもちゃのようなものを置いていないからです。何もない、真っ白の部屋に放置されたら、さすがに知的な要素のある子どもでも、何もできません。せいぜい、手遊びをする程度でしょう。(ちなみに、知的レベルが低いと、最悪マスターベーションを行いだして、とても恥ずかしい思いをします。自分の体の快楽に興味が向かってしまうのです。)
田舎の子供が、外に出て遊んで、虫などを捕まえてくるのは、(虫にはかわいそうですが)知的好奇心で、大人になるためのいい練習です。

猫は、子猫のときに親の真似をして、猫じゃらしで遊んだり、親のしっぽをつかまえて遊んだりしますが、これは「将来の狩りの練習」をしています。狩りすることは食べて、生きていくことです。
猫でも、犬でも必ず、「将来、1匹になったときの練習」を必ずするのです。これが、遊びであり、勉強です。

さて、普通に子供が「なんで、勉強しないといけないの?」ときかれて、「大人になって生きていくには、勉強しないといけないの! だから、いろんなことを小学校、中学校で義務教育で学ぶの!」という返事でいいと思いますが、時に、反抗期だと納得しない子供がたまにいます。

1つの対応策としたら、そのまま数日放置します。
親に怒られるところを怒られないのですから、最初の2,3日は子供は、へらへらと好きなことをしていると思います。ゲームするとか、遊びにいくとか、何でも好きなことをするでしょう。
しかし、普通は4,5日、遅くても10日放置されたら、不安になってきて、「やばいかな?」と思うはずです。思わなければ、別の精神病があります。知的障害の可能性があります。
ただ、普通の子供以上なら、「なんで、親が何もいわないのかな?」と思って、子供によっては、教科書を読みだしたり、宿題のプリントをしたりしはじめるはずです。日本人の子供は、基本的にまじめですから、ずーっと遊ぶことがむしろできません。やれそうなことからしはじめます。
それに好きなゲームも1種類だけなら、そのうち飽きます(新しいのは絶対に買い与えないでください)。
そうなったら、言い聞かせてあげればいいと思います。
「好きなことばっかりしていても、飽きてつまんなくなるものだ。それに好きなことだけしている人間なんて、一流になんてなれない。三流人間になるんだ」と言ってもいいと思います。
「好きなことをしている一流の人は、嫌なことも乗り越えたからこそ、一流なんだ。たまたま見えないところで、前に何度も苦労しているだけで、おまえは子供で表面的だから、気づかなかっただけだ」と言い切ればいいです。
氷山の一角の絵を描いて、説明してあげるとよいでしょう。

しかし、DNAから異常にへそ曲がりの人はたまにいます。
「え? 夫はそこまでへそ曲がりじゃないけど、子供がなんか変なの」というお母さんは、4人の祖父母からの隔世遺伝かもしれません。祖父母に似た行動の人がいるかもしれません。
問題行動は、実はこれも遺伝します。反社会性的なものや、ちょっとしたいたずらなどはそういう問題行動です。

特にひどいケースは、あまのじゃくで、これは愛着障害という精神病の一種です。(もちろん、グレーゾーンで程度の差はあります。)

説明をしても納得しない場合は、そのままですと子供のためによくありません。
世の中、親がだめでも、近所にいいおばさんがいて、その人に可愛がられたら立派な大人になったという人は、ごろごろいます。
実の親が、そこであきらめることはないのです。

ちょっとくらい、DNAで問題行動をしても、教育と環境で治すことができます。普通は、これを家庭教育や義務教育で正して、きちんとしたまっとうな大人になっていくのです。18歳くらいでだめでも、25歳くらいのときに、大事件があって、考えが変わって立派になった人もいます。
ただ、25歳はいい大人ですでに社会人ですから、できるだけ、高校生や大学生のうちに、きちんとした子供になっておくべきだと思います。

この「こじらせ子供」については、「なぜなぜ作戦」を使います。子供に、質問をより深い質問をします。親も何個も質問を考えないといけないので、ちょっと大変です。
「なんで、宿題しないの?」
「やりたいゲームがあるから」
「なんで、そのゲームはやりたいの? どこが好きなの?」
「ヒーローがかっこいいから」
「じゃあ、そのヒーローのどこがかっこいいの?」
「仲間を助けてる強いから」
「あなたは、仲間を助けるくら強いの? 勉強してない人が強くなれると思ってるの?」

だいたいこのへんで、子供は自分のあさはかさに気づくと思います。たぶん、捨てセリフを言います(笑)。
「うるさいなあ、ママは!! あっちいってて」
「そのゲームは、パパとママが苦労して勉強して仕事を得て、稼いだお金で買ってあげました。あっちいっててというなら、ゲームは取り上げます。勉強するまで、二度とさせません」
子供はふくれっ面をしたり、泣きだすと思いますが、突っぱねます。そのうち、向こうから折れてくるでしょう。
「ごめんなさいは? パパやママの苦労を理解できない子は、うちにはいりません。どこかに捨ててきます。ごはんも食べさせませんからね」
ともううちょっと押せば、たいがい、泣きながら「ごめんなさい」というでしょう。
要するに、Give&Takeや、義務と権利を教えるようにします。
また、相手の気持ちを察するように気づかせます。

「お母さん、XXちゃんがぜんぜん宿題も勉強もしなかったら、近所を歩けないわ。どうしよう。恥ずかしくて生きていけない。お母さんの気持ちは、わかってくれないのかな? そんなにXXちゃんは思いやりも優しさもないのかな?」
ここも質問口調で、「あれ?私が悪いのかな?」と気づかせるように質問します。叱るのではなくて、まずは「質問」です。

まあ、これでもごめんともいわず、宿題もせず、かたくなな子供はいると思いますが、その場合でも、同じような「なぜなぜ作戦」を繰り返します。
「このまま、ごはんを食べないとどうなりますか? 学校にいかないとどうなりますか?」
「刑務所ってわかりますか? 犯罪ってわかりますか? 親や先生は、子供によかれと思って言っているのだから、それが納得できない人は、将来犯罪者になります。犯罪者は刑務所から出してもらえません。わかりますか?」
子供に、嫌なことでも世の中には義務があるのですから、義務を果たさない子は、いつか犯罪者になって刑務所にいき、すべての自由を奪われることをきちんと説明します。

子供なりに、「なんとなく、やばいな」というのを納得しないのであれば、一度きちんとした児童支援センターなどに連れていくべきかもしれません。
(日本人は平均IQでいうと、世界一なので、かなり賢いです。外国人やハーフの子供は、これより落ちる可能性はあります。ちなみに、2、3歳くらいから知的障害がある場合はわかりますので、口答えができるような小学1年生だと当然、知的な問題はすぐわかるはずなので、境界知能の問題かもしれません。)
実は、サイコパスや反社会性パーソナリティ障害という病気があり、これらの人は、一般の倫理がまったく理解もしないし、相手が困るとかわからないのです。
これは特別教育をしないといけないので、一度きちんとした専門家に相談すべきだと思います。しかもたちが悪いのは、嘘をついてごまかす、隠すなどをだんだんすることです。2,3歳の子供でも、500円千円のお金をくすねることがすでに心理学実験などでわかっています。
もちろん、「何度教えても、態度があらたまらない」ときだけです。1回目から行くことはありませんので、安心してください。

まあ、その前にたとえば、合気道や将棋、囲碁といった勝負のお稽古ごとを習いにいかせて、負けるときには「ごめんなさい」という練習をさせるのがいいかなと思います。
負け惜しみが強すぎると、これも社会で行くのが辛いです。一般に、嫌われてしまいます。悔しくてもごめんなさいが言えるのが、人の道です。
多くの柔道や剣道などの武術は、心身共に鍛えますし、日本は「柔術」でなく「柔道」という礼儀・人徳も教えるようになっていますので、必要なことはこういった先生が教えてくれるでしょう。

それでも、ぶちきれたり、暴れたりするなら、本当に障害支援センターにいくべきかなと思います。
普通はスピードが遅くても、だんだん覚えていくものです。

もう1つは、たまたま「今は何も興味がない、やる気がない」場合です。
この場合は、興味があることを餌としてあたりをつけてやらせてみます。
また、試験を全部見直して、(怒るのではなくて)「どこが苦手かみよう」とか、「これは知ってるの?」とかいって、また試験的な質問をします。
しばらくは、面倒でも親が、毎日「何をならったの? 何が面白かったの? よかったのは何? 悪かった、嫌いだったのは何?」と優しく聞いてあげればいいでしょう。

ちなみに、多くの外資系では、従業員やチーム成績の管理として、「Highlight & Lowlight」をやります。これは、「うまくできたこと、失敗したこと」を3つずつや5つずつ、必ず報告させることです。これで、苦手なことを放置しない癖がつきます。
苦手なのは苦手でもいいのですが、どの程度苦手かは理解しておく必要があります。
子供だと、最悪成長の遅れを見逃してしまいます。まあ、ゆっくり伸びていればいいのですが、ぜんぜん伸びてないと、本当になにか知的問題、精神的問題、肉体的問題が隠れているかもしれません。
(たとえば、側頭葉に脳腫瘍があると幽霊を見る傾向にあります。天使や悪魔を見ると、統合失調症の可能性があります。要は、素人にわからない脳の病気があるかもしれないのです。子供は言語がつたないですし、「怒られるといやかな」と思って我慢してしまいます。)

賢い両親だと、面白そうな本を家においておきます。
人気の、ジュニア小説がいいと思います。冒険ものなどがいいかなと思います。「十五少年漂流記」「三銃士」「ツタンカーメン王の秘密」「ファーブル昆虫記」「小公子」「小公女」「赤毛のアン」「はてしない物語」「鏡の国のアリス」などがいいと思います。
現実にうんざりしている子供には、違う世界がいいでしょう。ただ、名作でないといけないので、古典で生き残っている作品がよいと思います。しかも、関連する内容で「作者について調べる」「その舞台になっている外国について調べる」など、知識が広がるものがいいです。
(なので、今流行の完全勝手な空想の「異世界もの」ではないほうがいいです。内容も正直浅いし量産作品ですし、本物の歴史や外国のことがぜんぜんわかりません。インチキですから・・・)

家庭での子供が本に触れない環境が続くとこのような問題にあると警鐘を鳴らされています。
家庭格差の上層の子どもは豊饒な言語空間で育ち、豊かな想像、思考、表現が可能になり、複雑な社会を生きる力を身につけることができます。グローバリゼーションの中を生き抜ける若者は、そういう者たちです。

一方、下層の子どもは、適切な言葉が身についていないためにさまざまなところで壁にぶつかります。現代を象徴する問題――コミュ障、陰謀論、ヘイト、孤立は、そういったところで起きています。

今の子どもたちが直面しているのは、こうした生きる力としての国語力の脆弱さなのです。」

https://toyokeizai.net/articles/-/612335

上記記事により引用



もし、漫画なら、できるだけ学習漫画がいいと思います。
あるいは、ちょっと大人向けで、仕事を頑張っている主人公の漫画などです。
漢字によみかながついているとなお、いいです。知らない漢字は、辞書で調べる癖をつけさせましょう。
勉強が苦手なら、スポーツ名選手などの伝記でもいいと思います。たとえば、たぶん長嶋選手より、王選手のほうが努力家なので、個人的には普通の子供であれば、王選手の伝記のほうがいいと思います。まあ、根暗な子供の場合は、明るい長嶋選手でもいいのですが、長嶋選手には天才的なところがあるので、DNAがないと無理かなという気はします(苦笑)。
今なら、大人気の大谷選手の記事などを親子で一緒に読んでもいいかもしれません。野球のルールやチームワークの大切さも学べます。
正直、逆境から這い上がる人の話のほうが、感動的です。


ついでに、反面教師で説明するのも、あまりに意固地な子供だとありかなと思います。
ネットでのゆたぼんが嫌われている悪口を大量に見せます。
それで、
「へー、ゆたぼんみたいに嫌われたいんだー。勉強しないとこうなるんだけど、こうなりたいんだー?」って見せてもいいと思います。
ゆたぼんを馬鹿にする人はいっぱいいるから、材料にはことかきません(笑)。
「軽蔑されたいってことかな? ほめられたくないんだー?」とか。
「ゆたぼんって、本当に他人のせいにばかりするよねー。大人が悪いとか、先生が悪いとかばーーっかり。自分だって悪くないと、こんなことにならないよねえ?」
小さい子供でも、「褒められたい」という承認欲は少しはあるものです。

それに悪口言われるなら、ほめられるほうがいいですしね。

あまり意固地なら、親子で遊園地でなく、仕事舘や博物館などに連れていって、とにかく、なんでも見せてみることだと思います。
恐竜だろうと、昆虫だろうと、お花でも、食べ物でもかまいません。
最悪、すべての人は食べないと生きていけませんから、料理教室に連れていって、簡単なもの、カレーやサンドイッチ、おにぎりなどを親子で一緒に作ればいいのです。
世の中には、キッザニアという便利な施設もあります。ここで、地味でも大切な仕事見せて、体験させてもらえます。

ほかには、「そんなのできるもん!」という子には、実際にやらせます。
実際にできない子は、ぜんぜんやりません。
やらなければ、ごはん抜きでも大丈夫です。1,2食抜いても子供は死にません。水は必ずあげます。ただ、問題はごはん抜きが1週間2週間と続けるとただの虐待ですので注意しましょう。
子供のほうが体力がないのですから、普通は向こうから折れてきます。

やらないのは、ただの「できないだけ」です。
それにやれても、あえて「へー、できるけどこの程度なんだー。お母さん、90点くらいかなと思ったけど、これじゃあ、50点以下だね」とちょっと意地悪ですが、そういって、激励する(苦笑)のも手です。
本当に90点以上なら、ほめてあげて、それで終わりにすればいいと思います。特技が1つ増えたということです。


世の中、恐ろしいのは、5,6歳なのにもう言い訳や、口でのごまかしを平気ですることです。
これを放置することのほうが危険かもしれません。

「下手でも、まあ40点でもやったら立派!」でいいのです。
また「上手なら、上手! 100点」といってほめてあげればいいです。
フラットにものを考えることのほうが大切で、最初から、偏見やゆがみのあるものの見方、へそ曲がり理屈を放置するのが危険です。
あまのじゃくの解説にあったように、もしかしたら「愛着障害」が進んでいるのかもしれないです。子供のうちなら、声かけしたり、ハグしたりすれば、愛着障害は治ります。大人になっても治らないのが怖いのです。

国語力、読解力がないと、このようにすぐ誤解して暴力になりやすいという例をリンクします。
実際、保育所、幼稚園などですぐお友達をなぐる子供は、正しい言葉がでてこないので、暴れるのです。

また、基礎学力があまりにない境界知能の子供が少年院に入ってしまう例もこの有名な本で報告されています。


以上、勉強しない子供への対応策と、隠れているやばい理由などを解説しました。
ご参考になれば、幸いです。

ちなみに、行動遺伝学について知りたい方はこちら。
DNAから来るのが多いですが、必ずしもそうではないし、ちゃんと教育すれば、問題にはなりません。
何もしらないで、放置するから、後で問題になるのです。
「ありのままのー」で育てたら、なんと「犯罪者になりました!」では、大変なことになります。

こちらの、学力のふたこぶ化についても、なかなか厳しい現実が見えているので、お読みになるとよいと思います。貧困格差→教育格差になっている可能性はあります。本来の、真ん中の分厚い中産層がもしかしたら、減ってきているために、家庭教育にお金をかけられないなどの裏もあるのかもしれません。


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