満月や己を友に街に住み 川島葵

「椋」2021年12月号より。

現在母校の大学の近くに住んでいる。そのせいか今でも大学生活が生活の一部である気がしてしまう。当時は今と違って女子学生専用アパートに住んでいた。その木造アパートで静岡出身の同期と沖縄出身の同期に出会った。四年間三人で部屋を行ったり来たりして過ごした。卒業後二人はそれぞれ故郷に帰って行った。そのアパートを出はしたが、わたしだけが東京に残った。

その後浅草の実家で暮らした時期を経て、また大学のそばに引っ越した。町のどこを歩いていてもあの頃を思い出す。一人で町を歩きながら、さよならだけが人生だ、とつぶやいたりする。

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