山百合やかすかな雨に傘閉ぢて 安藤恭子

「椋」2021年12月号より。

春を理由に本をかなり整理した。掃除を忘れてつい手に取ってしまった文庫からすこし。

ところで、夫は傘を持ち歩くのが嫌いで、多少の雨なら濡れる方を選ぶ。結婚する前、待ちあわせの場所にあらわれた夫が濡れていることが何度もあった。

江國香織「雨」『いくつもの週末』(集英社、2001)

掲句は助詞〈に〉にかなり負担をかけている。助詞ひとつに強い負担をかけても一句が成立するとき、わたしは助詞のたくましさを感じずに
はいられない。

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