知っててもはまる「参照点依存性」
前回にひきつづき「ナッジ」について。
ナッジとは、おおざっぱにいうと、
「人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック」
を指す。
子供が玄関でスニーカーを脱ぎ散らかすのを何とかしたいと思った母親が、玄関にチョークで靴跡を描いたところ、子供は靴跡にスニーカーをあわせて置くようになり、脱ぎ散らかしがなくなった。
これもナッジだ。
ネコを飼っている人のあるあるだが、乾いた丸い洗面器を床に置いておくと、ネコはそこに入る。
これはネコナッジと言えるかもしれない。
優れたマジシャンは相手に自分が意図するカードを引かせることができるというが、あれもナッジの1つ。
ナッジは、人々の選択や行動を微妙に方向づける手法であり、マジシャンの技術もこの原則に基づいている。
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今回のテーマは「参照点依存性」。
スーパーなどでひととおり買物を済ませてカゴに中身が埋まると、はじめは高いと思っていた商品が安く見えることがある。
そのためレジ前の商品は安く見えやすい。
だからスーパーのレジ前は充実している。
これらは「参照点依存性」と呼ばれる心理状態だ。
人は物事の価値を絶対的な判断に基づいて測るのではなく、参照点(別の物事の価値)との比較によって測る。
買物カゴがいっぱになると、人の参照点は変化し、カゴの中身が参照点になる。
多くの場合、それで参照点が上がる。
レジ前の商品が安く見えてくる。
人の感情は、自分が設定した基準(参照点)からどれくらい変化したかで評価が決まる。
たとえば、コンビニでおにぎりを買う場面を考えてみよう。
120円のおにぎりが割引で100円で売られている場合
もともと100円のおにぎりがそのまま100円で売られている場合
どちらのおにぎりを買う方がお得感があるだろうか。
多くの人は120円のおにぎりを100円で買う方がお得感があると感じるはずだ。
だから売る側としては、わざわざ高めの定価を設定したうえでそれを割引する、という手法を使うことが多い。
そして、これはさらに重要なことだが、昨今の消費者は
「どうせ売る側はわざわざ高めの定価を設定し、割引してるんだろうな」
ということを薄々わかっていながら、やはりお得感を感じている。
知ってても、はまる。
種明かしされているのに人気が続くマジックみたいなものかもしれない。
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このテクニックを協会の運営にどのように応用できるだろうか。
協会の運営において参照点依存性の概念を応用することは、
メンバーシップの価値提案
イベントのプロモーション
寄付
などの側面で有効に活用できる。
<メンバーシップ料金の設定>
元々のメンバーシップ料金を高めに設定し、特定の条件(早期登録、グループ登録、特定の職種や学生向け)で割引を提供する。
これにより、メンバーはより割安感を感じ、加入を促進できる可能性がある。
<イベントのプロモーション>
参加費の早割プランを用意し、通常価格との比較によって割安感を強調する。
<寄付や資金調達>
寄付の目標額を公開し現在の進捗状況を表示する。
クラファンでよく見るテクニックだ。
参照点としての目標額を明確にすることで、これが「参照点」となる。
寄付者に目標達成への貢献感を提供できる。
「AI時代がついに来た」と巷では言われています。
では私たちは、何かしなくてはいけないのでしょうか?
協会として何をしたらいいのでしょうか?
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