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Arrange #05 バンバード ~Piano Version~ (mozell) / Banbard -Piano Version-




I. 超有名フリーBGM

この曲は有名なフリーBGMだ.以下ページから無料でDL出来る.

からっとした夏のような雰囲気を持っている美しい曲だ.バンバーズというこれ限定のコンピアルバムすら出ているレベルで人気.

これ,Piano Versionとあるように,原曲が存在する.

ただPiano Versionの方があまりにも有名になり過ぎてこちらはあまり目立たないかもしれない.これはこれで夏の夜感があって良い.

この曲を作ったmozell氏だが,随分と寛容なガイドラインを制定している.

まあ要は「どのサイトでもいいから,音源買ってくれれば俺のBGM好きに使ってええで」ということである.営利だろうが成人向けだろうが好きに使える.

なので,今回はなんと楽譜や音源ファイルを配布する.寛大な規約を示してくださったmozell氏に感謝である.

しかもなんとこの曲,先ほど示した以下のページの下の方にMIDIファイルが用意されている.

ちなみに原曲の方も有料だが配布されている.ちょっと驚いたのだが,この原曲の配布サイトを見る限り,この曲はイ長調(Am)ではなく嬰ヘ短調(F#m)らしい.確かに終止はF#mなのでキーも嬰ヘ短調とするのは理に適ってはいるが,雰囲気的にはイ長調だと思っていた.

閑話休題.MIDIが配布されているのはどういうことかというと,これを直接Finale(楽譜を打ち込むソフト)へ放り込んでしまえば勝手に楽譜にしてくれるということである.つまり採譜が要らないわけである.何から何まで至れり尽くせりだ.


II. 解説

発想標語はAllegro con brio.L. v. Beethovenがよく使う発想標語である.Eroica, Sinfonie Nr. 5, Waldsteinなど,様々な曲に登場する.

終止ハンドクラップの音を左手の小指にやってもらう.右手が地獄のように難しい代わりに,左手は至極シンプルだ.

冒頭から音の詰まり具合が凄まじい.本来であれば原曲のピアノの左手もこのアレンジに突っ込みたかったところなのだが,流石に人の手には余る代物になりそうだったので却下した.

原曲の原曲がそもそも民族チックな感じで,右手のフレーズは元々はアコギだったわけだから,このピアノに関しても少しパーカッシブにメリハリ付けて弾くとよい.この部分弾くの楽しい.

[A]からバグパイプのメロディーになる.短前打音が多いが,やらなくてもいい.この曲全体について言えることだが,前後に16分音符があるような短前打音は,直後の16分音符を短前打音の音に完全に置き換えてしまっても良い.連打についても,適宜音を抜いて良いだろう.真面目に全部の音を取りこぼしなく真面目に弾こうとすると指先が発火する.

[B]は音域移動が激しいが,しっかり運指を考えておけば然程難しくない.基本的に3音1組の小さいフレーズの繋がりなので,リズムが前のめりになり過ぎないように気を付けよう.左手のビートを保つのだ.

[C]の骨格は[A]と同じだが,打音が若干異なる.[D]は[B]と同様に3音1組の連鎖なので前のめりにならないよう気を付けたいところ.

[E]の内声は正直やらなくてもいい.真面目にやると面倒ゆえ.ここはとにかく外声のハーモニーを大事にしたい.コードに沿って弾いていれば内声は適当でも良いかもしれない.

[F]は冒頭の後半部分の変形.16分音符の単音は軽くあしらう程度に.リピート後,[G]は[D]の変奏だろうか.初っ端から打音まみれで死にそうになる.例によって前のめりにならないようにしよう.

[H],[I]は音の密度が減る.弾きやすいといえば弾きやすいのだが,シンコペーションが増えるのでテンポキープに気を付けよう.4分音符はシンセを弾いているように気持ちよく弾ければ尚良し.

[J]は[A]の変奏.奇数小節目の外声の2音目は頑張って左手で取る.奇数小節目の左手は全音符ベタ弾きでもいい.[K]については言うことないね.[L]からも引き続き[A]の変奏が続くが,ここからは打音や外音,伴奏などの違いではなく,メロディーライン自体が動く.[M]は[B]と同様前のめりに(ry [N]から更に[A]の変奏になる.8分音符のオクターブ部分はひときわ目立つように鳴らそう.[O]はまたシンコペーション爆増地帯なのでやはりテンポキープに気をつけたい.

[P],[Q]は[E],[F]と同様.若干音が変わっている.やっぱり内声はやらなくてもいい.最後の終止の音は「溜めて」もいい.


III. あとがき: 電車の中でも作曲する方法

旋律というものは突然降ってくるものだ.ある意味ナマモノのようである.保存しておきたいなら冷凍庫に入れとかなければならない.

ピアノがあれば話は早い.弾いたものを録音しておいて後でMIDIなり譜面に起こせばいい.五線紙でもいい.雑でもいいから書き留めておけば後々それをMIDIに起こせる.或いは極論,声さえ出せれば,口ずさんだものを録音しておけばよい.

しかしピアノはいつでもあるわけじゃないし,五線紙は大抵B5以上のサイズだから持ち運びには不便だし,声は時と場合によっては出せない場合がある.

そこで考えたのが,通常のメモ帳とペンだけで曲をメモしておく方法だ.試しにMøyurɑの冒頭のメモを見てみよう.(ちょっと見やすくしてあるけど)

まず冒頭のCは拍子.コモンタイムといって,4/4拍子の省略記号である.2/2拍子を示すときはȻ(アッラ・ブレーヴェ)を書く.それ以外の拍子の時は普通に3/4とか5/8といったように分数を書く.

次の70-80caはテンポ.普通に四分音符基準のテンポの場合は何も書かない.caは「大体」という意味.要は70-80caは♩=70~80ca.という意味である.四分音符以外の基準を使う場合は指定の音符を書く.例えば八分音符で125~135くらいなら,♪125-135caと書く.

最後の0/-5はキーだ.数字は調号の数で,0がハ長調/イ短調,プラスはシャープ系の調,マイナスはフラット系の調である.つまりは0/-5は「ハ長調(イ短調)または変ニ長調(変ロ短調)」という意味.0の下線は,下のメモのキーがどちらなのかを示す.

2行目以降が譜面の部分だ.基本的には8分音符刻みで,それぞれのアルファベットは英語の音名に対応する.すなわち,A=ラ,B=シ,C=ド,…,G=ソである.Cが真ん中のドという定義である.オク下はアンダーバー,オク上はバーで表す.

中黒(・)は8分休符,空記号(Ø)は4分休符を指す.| | で挟まれている部分が1小節に相当し,上付き文字はコードを示す.同じ音符や休符が連続する場合は,連続する数だけの累乗を書く.4分休符3つ分ならسといった具合だ.

これを更にシャープやフラット,或いは16分音符などに拡張する場合は,新しい記号を用意する.以下はMøyurɑの[C]のメモである.

基本的な記法は変わらず,それぞれの文字が何かしらの音に相当する.16分音符を使う場合は小文字を用いる.シャープやフラットが若干特殊で,仮にC#をいちいちC#と書いているようでは,折角思いついた旋律が逃げてしまう.この手のメモは削減できるものは1秒でも削減したい.そこで以下のような独自の記号を与えることにした.

覚えるのが大変だが,この記法に慣れてしまえば走り書きでスラスラと書ける.

⑧は8vaで,それ以降はすべての音を1オクターブ上げろという意味.⑥はloco=loc≒?ろく=6ということで,8vaで上げた/下げた音をもとに戻せという指示.8vbのときは⑧を下付きで書く.

16分音符より細かい音に関してはそもそも使わないので記法を用意していない.n連符を書くときは上側にスラーで括って上にnを書く.4分音符以上を表す場合は,8分音符の長さで換算し,「~」で表す.例えば4分音符のドならC~,2分音符ならC~³,全音符ならC~⁷である.タイは普通にタイ記号を書くが,上に書くとn連符のスラーと紛らわしいので,下側に書く.

これを使うことで,五線譜も楽器もない,挙句声を出す権利すらない状況でも,不意に通り過ぎた旋律を捕まえておくことが出来るのである.


IV. 楽譜&音源配布

ここに書いてあるルールに加えて,以下に追加するルールを守ってくれれば使途は問わない.

・転載不可.
・作曲者が mozell (@mozeen_mozell) 氏,編曲者が kyoka (@kyoka20011218) であることを明記すること.
mozell氏が提示している利用規約にも従うこと.
・この編曲についてmozell氏に直接のコンタクトを取らないこと.(シンプル迷惑だと思うので)

《楽譜ファイル (PDF)》

《高音質音源ファイル》
WAV形式のCD音質 (44.1kHz/16bit, 1411.2kbps)

《並音質音源ファイル》
MP3形式のストリーミング音質 (320kbps)


V. クレジット

作曲・見出し画像: mozell (@mozeen_mozell) 様
編曲・執筆: kyoka (@kyoka20011218)
浄書・動画編集: Noah


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