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〈ユーザー〉とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』


〈ユーザー〉 【ゆーざー】

 ここでは、人間はいわば〈社会的装置〉の〈ユーザー〉なのであって、システムの提供する“機能”を自由に利用しさえすればそれでいい。あとはシステムの方が水面下でうまくやってくれる、というわけである。 

上巻 52

 〈社会的装置〉に依存する人々の〈生〉の様式を、ウェブ上のサービスにおける“システム”に対する“ユーザー”のアナロジーを元に揶揄したもの。

 ウェブ上のサービスにおいては、ユーザーとして登録されれば、システムが与えてくれるあらゆるサービスを享受することができるが、そのサービスの内容やシステムそのものを操作することはできない。

 それと同様に、現代人は〈社会的装置〉が実現してくれる範囲で我慢することさえできれば、自らの力で〈生〉のあらゆる側面を一から組み立てていく負担から解放され、一定の自由と平等を享受することができる。

 しかしそれは、あくまで〈社会的装置〉に規定され、〈社会的装置〉に依存することによってはじめて実現されるものであるという意味において〈ユーザー〉としての「自由」と「平等」である。

上柿崇英『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版、2021年)

 このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。

 (現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。

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