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〈生活者〉(「〈生活者〉としての生」)とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』


〈生活者〉(「〈生活者〉としての生」) 【せいかつしゃとしてのせい】

 「その〈生〉は、生身の人間にとっての〈生〉、すなわち〈生活者〉としての〈生〉である。そして外部から二重の〈環境〉として見えていたものは、ここでは〈生活者〉が〈生〉を実現するための舞台、あるいは具体性を帯びた“生活の場”として現前することになるだろう。それを本書では、改めて〈生活世界〉と呼ぶことにする。要するに、こうして浮かびあがる「人間的〈生〉」の諸相こそが、ここで人間という存在を描きだすための、第二の枠組みとなるのである。」

上巻 144

 人間存在の本質を分析する「〈生〉の分析」(第二のアプローチ)において、等身大の〈生活世界〉において〈生〉の実現を実践する主体のこと。特に本書では、〈社会的装置〉が発達し、「〈生〉の三契機」の実現が〈社会的装置〉への委託となる以前の状態にある主体のことを強調する場合に用いられる。

 〈社会的装置〉に依存することで〈生〉を実現する〈ユーザー〉と対になる概念であり、そうした〈生〉の様式のことを指す「〈ユーザー〉としての生」に対置させて「〈生活者〉としての生」と呼ぶ場合もある。

上柿崇英『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版、2021年)

 このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。

 (現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。

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