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頼りない

幾日と持たず
真紅の花弁は
煤けて嗄れ
もう何年も前の
血痕の色

誰一人として
立ち入る事のない
屋上で朽ちた
ミイラみたいに
死んだようでいて

その実まるで
生きているかのように
風の囁きに
ほんの少しだけ
打ち震えては

聴こえてくる
蝉の言葉だって
数える程度になった
今なら漸くゆっくりと
語り合えるわ

だなんて
頼りないくせに
裸の姿を晒している
そんな秋の午後には
静けさの色々達が

愛し合えるわ

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール