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暇な店

朝から仕込みに精を出し
仕入れは未だにファックスで
流れるラジオと水の音
開店時間を過ぎようが
特段忙しい事も無い
電気ポットの顔叩き
粉末緑茶のマグカップ
ようやく沸いた湯を注ぐ
お隣さんの挨拶に
壁を挟んで返答し
世間話もしないから
だいたい黙ってお茶を飲む
外が見えない空間に
閉じ込められたい訳もなく
天気と空のご機嫌を
モップの乾きで予測して
答え合わせの理由付け
買い物無いかと探し出す
暇な店でも開けてれば
ちらほら尋ねる人もいる
店が終わると夜だから
も少し暇でも良いくらい



やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール