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足音

誰かを待っているから
階段の下
音を消していくと
地下の密室
聞こえないが溢れる
湿り気と薄明かり
寄り添う温もりは
掌の窪みにしまった
清楚と色情の混濁
一方通行の徘徊
笑われたと思った笑い声
壁面の絵画と無数の穴
命令口調の標識に
美観とゴミの匂い
幼子と母の足音
階段を降りる
直前の共鳴タイムラグ
良からぬ夢想
階段を降りる
現実を連れ戻すリズム

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール