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噴水の上を歩いて

放水量と勢いの強弱
時間と順序の組み合わせに
ブルーやグリーンの照明
人の手が介在する風景
むしろそれ以外は稀有
人跡未踏の地においては
生きる事も拒絶される

僕は地球の端っこ
島国にある何でもない町
生きやすいか生きにくいか
それは答えられないけど
結局は生きているから
嫌いでいるより好きでいたい
反発するより受け入れたい

まぁそんな元気もないもんだから
淡々と一日を紡ぐだけだ
町の寂れた広場にある噴水
美しくもなんともない人工物
水なんて彼此数年は出ていない
そのくせ何故だかいつも
少しばかりの水溜りがうろついている

何だが寂しいような心持ちにもなるが
それもすぐに日常の風景に同化
だから僕はせめてもの抵抗として
噴水の上を歩いて渡っている
吹き出す水に打たれたくって
なんてそんな事も嘘なんだけれど
退屈凌ぎにはちょうど良い寄り道

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール