見出し画像

巨人

春の陽気に
浮かれた寒さ
風が唸れば
雑居ビル
四階の窓に
没する間際の
太陽がしがみつく
ロータリーの空白
無用なモニュメント
発狂した静謐
日常的風景は
馴れ合いの欺瞞

さあ
空を仰げ
見た事もない
巨大な雲
誰にも聞こえない
日緋色金の轟音
振り翳せ
踏み鳴らせ
無人の群衆
振り下ろせ
踏み潰せ
魂の咆哮

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール