撫でる
夜に言葉は要らない
飲みさしの湯呑みには
三つばかりの文節が
もういいかいと言って
剥離した沈殿物の底
落とした物は拾わない
大切に取っておいても
浮かばれないからさ
かわいそうだねと言って
目も合わさずに消灯
黙って君の頬を撫でる
寝息を真似るように
優しさを考えながら
こんなもんかしらと言って
最後は自分を撫でてみる
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール