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配達員

シーソーペダルを踏み鳴らし
砂利道私有地午前四時
何処からともなく現れて
あらゆる音を道連れに
今日の終わりか始まりか
境界線上走り抜け

住人よりも懐いてる
ポストのお口にキャンディを
届けて去り際潔く
中央線を跨いだら
夜を左手追い越して
三軒先の青い屋根

犬も寝ぼけて鳴きそびれ
手持ち無沙汰で二度寝する
雨でも雪でも寝坊でも
夜明けがこの世にある限り
シーソーペダルを軋ませて
山道細道午前四時

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール