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サイレン

春先の風は気が早い
名前を呼んでも止まらずに
しっちゃかめっちゃか飛んでいく
そんなに急いでどこへ行く

竹はしなって道譲り
いつもの事だと気に留めず
重たい雪より楽なもの
カサカサ笑って服を脱ぐ

いくつか山が燃えたのも
夜に騒いだサイレンも
おまえが残した足跡で
動けぬ奴は灰になり

おまえに恨みのひとつでも
くれてやろうと思うけど
結局おまえに運ばれて
新たな命の種になる

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール