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夜凪

紅い月光消えた海
残され在るのは星屑と
それを映した街の灯と
海を渡った旅の火と
見送るばかりの両の眼と
消えずに燻る心色
追いかけたいのは嘘じゃない
追わぬと決めたその日から
どちらが先に忘れるか
しつこい汚れと願い事
迷子の子供に戻りたい
無邪気な声を爪弾いて
悲しみばかりを遊びたい
そしたらみんな逃げ出して
きっと一人になれるだろう
片手に想いを握り締め
片手で生きる不器用さ
未完の日々を積み上げて
崩れる不安にもたれ掛け
私は何処に行ったのか
紅い夜凪に鳴いた海

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール