見出し画像

恋愛歌

ひと目見たなら恋をする
馬鹿らしくも潔い
憂鬱と軽薄の調和
足取りも軽やかに
車が行き交う分離帯

大きく身体を揺らしながら
歩道をはみ出す変質者
運命的すれ違いのルート
三日後振り返るとして
進むべき道は交錯するか

欲の瓦礫には躊躇の埃が舞う
夢の足掻きを徹夜で唱えたら
聖人にでもなれるかと傷を刻む
痛みは自己認知の助けとして
心を満たす自己欺瞞の泡

愛したいとばかり宣言をする
とは言えそいつが何なのか
どうせあんたも語れやしない
もとより俺にも量れはしない
だからひと目で恋もする

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール