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太陽の影

早朝から
トイレに篭りっきり
ついさっきまで
おかしな夢の中
象の宇宙船やら
殺し屋の俺やら
やたらとデカいカラスやら
見たこともない恋人やら
心地良いのやら
思い出せないやら

一秒毎に薄れて行く
意味の無い幸福感
代わりに膨れて行く
理由を提示する嘔吐が
さっきから屈んで
丸まった背中をさするから
それが優しさだろうかと
そう思う方が利口なら
きっと俺は優しさに
窒息してしまうかもな

太陽が見たいよ
外は明るいけれど
まだ太陽は見えないから
俺は便器に顔を伏せて
鼓動にさえ悪態をつく
放っておけば
黙っていようが
太陽は昇るんだろうって
わかりきったこと
けれどそうじゃない

太陽が見たいんだ

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール