アルバイト
開店準備のアルバイト
場末のしがない喫茶店
営業時間の看板を
無視する客のカランコロン
無愛想自慢のウェイター
無言で流し目やり過ごす
わがまま恍けた見知り顔
毎度ホットのアメリカン
ズズイとすすれば火をつけて
くゆらす紫煙に反射する
数日振りの陽の光
眉間に皺寄せスポーツ紙
赤い小鼻と目頭を
指で摘んで文字を追う
心の声が口をつき
偉い政治家呼び捨てて
こいつはタヌキだポンポコチン
つられて相槌アルバイト
場末のしがない思想家に
孤独を重ねた洗い物
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール